研究課題/領域番号 |
21K00105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
小野 亮祐 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10611189)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | Lehrerseminar / クラシック / ポピュラー / ドイツ / 教員養成 / 演奏会 / オルガン / 教員採用 / 教会音楽家 / 教員養成所 / 教員 / 中部ドイツ / 音楽教員 / カントール / ルテネウム / トーマス学校 / ゲラ / ライプツィヒ / キャリア / 音楽の社会史 / 近代 / 学校 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では近代ドイツの学校での音楽とそれを取り巻く人々が、ドイツ音楽文化全体にいかなる影響を及ぼしたかを明らかにするものです。従来、音楽史研究でも学校の教師が教会音楽の担い手であったことは知られていましたが、あくまでも一部の人物の音楽家としての側面と音楽作品のみが注目されてきたにすぎません。また学校の音楽を主な研究対象とする音楽教育学は、学校制度や教授メソッド、それに関連する名だたる音楽教育者個人には注目してきましたが、音楽文化全体における学校の役割には注目してきませんでした。このように従来看過されてきた近代ドイツの学校の音楽史的役割を明らかにし、音楽文化史全体に位置付けたいと考えています。
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研究実績の概要 |
今年度は本研究プロジェクトで計画されている現地調査の2回目の実施と、現地調査、インターネット調査、購購入料を基にした研究成果の公表(論文一本)を行った年となった。 現地調査については前回の第1回目の調査に引き続き、旧プロイセン、ザクセン、チューリンゲン地域を中心に、教員の採用や、教員を養成するLehrerseminarでの音楽教授に関わる文書、また文部行政をつかさどる省庁における音楽に関わる文書を収集することができた。 特にLehrerseminarや省庁の文書では、教員養成の場で使用された音楽のレパートリーなどが読み取れる文書があった。また、これに付随して教員養成所における学生が出演するコンサートのプログラムや、観客の記録があることが分かった。これらの一部については、その後のインターネットでのオンライン資料調査などと合わせて論文公表した。ここで明らかにしたのは、ちょうどクラシックとポピュラー音楽というジャンル意識とコンサート制度の成立と同時代に、教員養成ではクラシック側の音楽を主に演奏(授業も演奏会も)していたことが明らかになった。この結果が、単純に時代背景の影響下にあったものとも位置付けて終えることもできるが、むしろ教員養成の場が音楽文化全体へと影響力を持っており、その大きなファクターの一つになったとも予想される。この点はさらに研究を深めたい。 加えて各地のオルガンの建造・修理などに関わる文書も発見した。著名音楽家が演奏をしてある程度知られている大都市の大教会の巨大オルガンではなく、それ以外の多くあるオルガンである。つまり、実際に各地に赴任した教師が演奏した楽器であり、彼らがどのようなオルガンを演奏したのかがここから明らかにされると予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集についてはおおむね当初の予定通りに進んでいると思われる。また、今年度の成果公表の基礎となったコンサート記録や、オルガンの建造・修理等の文書は当初の予定にはなかったもので、当初の予定を超える別の視点からの考察が深められるものと思われる。一方で、教員採用に関する文書等での研究成果の公表が遅れておりこちらは次年度に進めてゆきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
資料収集については、現地調査の時間の都合で取りこぼしがあったので、次年度はそれらを補強したい。加えて当初予定にあった「19世紀から存在する音楽学校の学籍・学務事項に関わる史料」、「管弦楽団(宮廷楽団など)の人事文書の収集」も実施し、順次これらの研究も遂行したい。 加えて、上記の教員養成でのいわゆる音楽レパートリーなどは、教員たちの持っていた音楽的エートスの解明となる。次世代への影響力の強い教員であることを考えると、この点の解明はまさに本研究プロジェクトの最終目的である「音楽文化の土台部分の解明」が期待されることから、こちらの研究もさらなる資料調査と研究成果の公表を進めてゆきたいと考えている。
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