研究課題/領域番号 |
21K00111
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
梅林 郁子 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (10406324)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アントン・ブルックナー / フリードリヒ・エックシュタイン / ジーモン・ゼヒター / エルンスト・シュヴァンツァラ / ラモー理論 / 音楽理論の伝承 / ジャン・ル・ロン・ダランベール |
研究開始時の研究の概要 |
ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764)の音楽理論は、ジャン・ル・ロン・ダランベール(1717-1783)の概説書の独訳を通じ、ドイツ語圏の理論家・作曲者へと強い影響を及ぼした。しかしこれまで、ドイツ語圏におけるラモー理論の変遷については充分に検討されてこなかった。 そこで本研究では、音楽理論史の枠組みのなかで、アントン・ブルックナー(1824-1896)を中心に据え、1)ブルックナーに至るまでの、ラモー理論の変遷、2)音楽理論家・教師としてのブルックナーが、ラモー理論の受容と伝承に果たした役割、の2点を明らかにする。それにより、ドイツ語圏におけるラモー理論の、主要な変遷を解明する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、(1)ラモー理論に関する資料の比較考察、(2)オーストリア国立図書館等における資料調査と内容把握の二点を計画していた。しかし、今年度もCOVID-19による渡航制限の影響、並びに職務の都合上、(2)は実行できなかったため、入手済の資料のみを対象として研究を続けた。 今年度の研究も、アントン・ブルックナーの弟子フリードリヒ・エックシュタインの著した『アントン・ブルックナー 音楽理論体系』(執筆年不明、オーストリア国立図書館所蔵、目録番号Mus.Hs.29333/1-3)の入手済部分を研究対象とした。そして、ブルックナー以前の理論書や、他のブルックナーの弟子の授業記録と比較して、理論の伝承や、エックシュタインの理論書の独自性を、論文としてまとめた。要旨は以下の通りである。 ①ブルックナーの師ジーモン・ゼヒターの理論書『作曲の原理』と、エックシュタインの理論書や、同じく弟子エルンスト・シュヴァンツァラ著『アントン・ブルックナー ウィーン大学での和声学と対位法講義』を比較考察すると、ブルックナーの授業が、ゼヒターの理論書から多くを負っていたことがわかる。またゼヒターは、ジャン・ル・ロン・ダランベールのラモー理論に強い影響を受けているため、ウィーンにおけるラモー理論の伝承を、以下のように整理できた。 ラモー(1722年に理論書出版)→ダランベール(同1752年)→ゼヒター(同1853・1854年)→ブルックナー(理論書は残さず)→エックシュタイン(執筆年不明、未出版)とシュヴァンツァラ(1950年に理論書出版) ②エックシュタインの理論書は、ゼヒター以前の理論書とは異なり、モーツァルトやブルックナーなどの音楽作品の実例を豊富に示し、ラモー理論が実践に、発展的に息づいていることを実証している。また、ブルックナーの理論を、音楽史のなかに組み込まれたものという観点からも論じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響と職務上の都合の双方の理由により、令和4年度もオーストリア国立図書館での資料調査が実施できなかった。そのため、現地でしか閲覧できない未出版資料の筆写等ができず、この部分の資料研究に未だ着手できていない。しかし今年度についても、入手済みの資料については、比較考察を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度については、現時点では海外渡航に支障が無いと考えられるため、オーストリア国立図書館に赴き、研究対象の主となるエックシュタインの理論書を中心に、必要な資料を入手し、できる限り、この2年間の遅れを取り戻したい。
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