研究課題/領域番号 |
21K00118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 東京音楽大学 |
研究代表者 |
下道 郁子 東京音楽大学, 音楽学部, 准教授 (50421110)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 旧制高等学校 / 寮歌 / 応援歌 / スポーツと音楽 / 集団歌唱 / 唱歌教育 / 文化資源 / ジェンダー教育 / 音楽文化史 / 学校文化資源 / 音楽受容と変容 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は明治大正期における応援歌を検討することにより、この時期の西洋音楽文化の受容とその変容を再検討するものである。特に日本人が西洋式の集団歌唱をどのように受容し、日本の文化と融合しながら変容していったのかを、西洋の近代スポーツを逸早く教育に取り入れた旧制高等学校の運動部において作られ発展した、応援歌の形成過程を逐一検討することにより究明していく。 旧制高等学校が編纂した数字譜や五線譜を伴った歌集の学問的価値は高く、これらの資料に近代音楽文化史という視点からアプローチをし、個々の歌の分析と考察を行う。また、映像や録音資料のない時代の応援という音楽活動を、これらの資料から再現する試みでもある。
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研究実績の概要 |
本研究は明治大正期における旧制高等学校の運動部の応援歌の形成過程の検討を通して、日本人が西洋式の集団歌唱をどのように受容し、日本の文化と融合しながら変容していったのかを明らかにすることを目的とする。2022年度は次のように進めた。1. 二高を対象として研究を行った。二高が教育上体育を重視した影響から、『第二高等学校歌集』に収録された歌のジャンルには、他校と比べて寮歌ではなく運動競技に纏わる歌が多いという特徴があった。このことから、二高を対象校として研究を進めた。2.『第二高等学校歌集』の最新版(平成13)の分析を行った。この最新版歌集は、第一部「校歌・応援歌・寮歌編」、第二部「合唱曲篇」、第三部「愛唱歌篇」で構成されている。第一部「校歌・応援歌・寮歌編」から応援、部、凱歌などのタイトルが付けられている歌計84曲を抜き出し、基本情報(各曲の発表年、タイトル、歌いだしの歌詞、作詞者、作曲者、調性、拍子)を一覧表にして、考察した。3. 応援の記述に関する資料を収集し、解読を通して、録音や映像が残っていない当時の応援の実態を文献資料の記述から考察した。4. 二高の「端艇」に関わる歌に着目して研究を進めた。明治期にはイギリスのパブリックスクールからの影響や海事思想との結びつき等から、学校スポーツとして漕艇競技が盛んで応援が加熱する場となっていたことが考察されたので、「端艇」に関わる歌を抽出して分析し、①学内対抗試合の応援歌、②船を漕ぎながらうたう歌、③対旧制第一高等学校試合の歌、④新しい艇の進水を記念する歌、⑤水難事故の歌の5つに類型化した。 以上の分析と考察から、二高端艇部の部歌・応援歌の今日的意義と再生について検討し、この研究成果は文化資源学会誌の査読論文として発表することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響で、取材や調査を行うことができないため、遅れている。 一方で、Web上で公開され、閲覧や入手できる資料、及びネット上で購入できる書籍を元にした範囲での、文献研究の進展はあった。特に、文化資源学会に論文を投稿したことにより、査読者3名からの、研究への意義ある指摘や助言を得たことが、研究の発展へとつながった。
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今後の研究の推進方策 |
寮歌祭の再会を待って、参加し取材を行いたい。 また、大学野球の試合の観戦や、各大学のスポーツ部の練習の見学など、現場に出向いての取材、調査を行なっていきたい。 大学や研究機関、図書館に所蔵はあるが、Web上で入手、閲覧困難な資料は、現地へ出向いて収集し、文献研究を更に発展させる予定である。また、国際学会への発表投稿も再開したい。
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