研究課題/領域番号 |
21K00119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 東京音楽大学 |
研究代表者 |
太田 暁子 東京音楽大学, 音楽学部, 講師 (90399741)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 義太夫節 / 音楽学 / 三味線音楽 / 女流義太夫 / 娘義太夫 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、女流義太夫(娘義太夫、女義太夫)の資料を、音楽面に重点をあててアプローチするものである。義太夫節の普及と伝承に関して、女性奏者が義太夫節の歴史上に果たした役割は決して小さいものではなかった。音楽としての義太夫節の演奏史が育まれてきた背景に、このように芝居に関わらなかった女性奏者の存在があることは、大きな注目に値する。本研究では、これまで行われてきた女流義太夫研究への社会学的なアプローチに加え、新たに音楽面からのアプローチを行うことによって、女流義太夫が音楽面において歴史的に成しえたことを客観的に明らかにすることを試みる。
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研究実績の概要 |
本研究は、江戸時代から続く義太夫節の中でも義太夫節の女性奏者(女流義太夫、娘義太夫、女義太夫)の資料研究を主軸としながらも音楽面に重点をあて、アプローチを進めるものである。義太夫節の女性奏者は劇場における芝居、演劇に関わる形ではなく、主に寄席等を活動の場としたり、素人への稽古や、素人の発表会(以下、素義会=そぎかい)における助演を行ったりして義太夫節の発展、普及に大きく貢献してきた。しかし芝居のような劇場で行われない演奏活動に関する客観的資料は、破棄されたり、散逸したりしやすいため、当事者がいなくなってしまうと追求しにくく、残された資料も断片的で多岐に渡り、それらを整理し、系統立てた分類を行うには困難を伴った。しかしそれらの資料を検討すると、素義会に出演する愛好家の人数のあまりの多さから、義太夫節は鑑賞されるばかりではなく、自ら演奏することを通じて伝統を育んで来たという事実が浮き彫りになるため、この種の資料に関しては引き続き検証を行う予定である。 2022年度は、時期によって新型コロナウイルスが急速に蔓延し、移動や対面を要する研究活動時期が制限されたため、それらを伴わない資料研究を優先して行った。しかし各種学会の大会や例会などの活動が対面式での開催に戻り始めたため、前年度に比べて有識者からの助言を仰ぐ機会は増加した。 2022年度は2021年度に引き続き、一般社団法人義太夫協会が所蔵している女流義太夫奏者に関係する資料を主軸としたリサーチ、分類作業を重点的に行った。また、義太夫協会の広報誌を通じて今後の資料収集や保存のための広報活動も行った。2023年度以降に予定している楽譜資料の解読に向けて、芸系の確認作業にも着手した。また、放送関係の資料のリサーチや整理にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、新型コロナウイルスが急速に蔓延した時期があり、地方での調査が予定通りにははかどらなかった。そのため、ひきつづき2021年度同様、一般社団法人義太夫協会が所蔵する資料を主たる対象としたリサーチと整理、検証を行い、対面を要するリサーチや宿泊を要する調査の大部分を次年度以降に持ち越すこととした。義太夫協会が所蔵する資料は多岐に渡っており、2022年度も2021年度同様、義太夫協会が所蔵している女流義太夫奏者関係資料の入手経緯の確認、その整理、他機関所蔵状況との比較、分類、検証をひきつづき行った。所蔵資料の写真撮影および分類(方法の検討も含む)、データベース化が主な作業だが、開催される演奏会の種別があまりに多岐にわたるため、その裏付け調査と検証に膨大な労力を要することが分かった。 また、ラジオやテレビで放送された奏者のデータや、SP等に録音された演奏資料のデータの整理を照合、検証する作業は着手し始めたばかりなため、これは2023年度に重点的に行う。また、本研究を行っていることをひき続き各関係者にアピールし、女流義太夫奏者、関係者個人所蔵の資料が今後出来るだけ散逸しないようにする対策をし始めた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降は2022年度よりも、より対面を要するリサーチも含めた活動に力を入れる予定である。とくに昭和の時代、義太夫節愛好家による素義会が盛んに開かれたが、そこに演奏家が助演という形で多く出演している。日頃教えている弟子の演奏会に師匠が助演をする、というパターンが基本だが、このような素義会関係の資料に関しては引き続き検証を行う予定である。 2023年度は引き続き芸名を持った演奏者からのアプローチという視点で義太夫協会所蔵資料を主軸にしつつ、他の諸機関の資料と照合するとともに、関係者からの話を聞きつつ検証を行う。一方、ラジオやテレビで放送された奏者の演奏データや、SP等に録音された演奏資料のデータに関しても整理し、奏者の個人データと紐付けて照合する作業も行う予定である。また、音楽的資料(おもに現在個人蔵となっていない楽譜資料)のデータ化、分類、系統立てへの検証も併せて行っていくほか、各種学会の大会や例会への参加を通じて有識者からの教示も積極的に仰いでいく。また引き続き、本研究を行っていることを各関係者にアピールし、女流義太夫奏者、関係者個人所蔵の資料が今後散逸しにくくするような手法として機関誌等での呼びかけ等を続け、対策を検討、遂行していく。
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