研究課題/領域番号 |
21K00120
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 武蔵野音楽大学 |
研究代表者 |
黒川 真理恵 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (10648364)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 三味線 / 俗曲 / 流行歌 / 楽譜出版 / 木版本 / 詞章本 / 版元 / 歌舞伎 / 役者絵 / 二次創作 / 仮名手本忠臣蔵 |
研究開始時の研究の概要 |
江戸時代の流行歌は、三味線伴奏の小編歌曲であり、その歌詞は木版本に摺られて出版された。なかでも、歌舞伎を題材にした流行歌は、木版本の表紙に役者絵が描かれた。本研究では、流行歌の木版本を通して、歌舞伎の情報がどのように二次創作され、人々に共有されたのか、音楽・歌詞・役者絵の3要素から明らかにする。主な研究対象は、大阪大学附属図書館所蔵忍頂寺文庫の流行歌の木版本1300点である。
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研究実績の概要 |
本研究は、近世後期の流行歌の木版本(詞章本)を通して、歌舞伎がどのように二次創作され、共有されたのか、音楽・歌詞・役者絵の3要素から明らかにすることを目的とする。3年間で計画された研究のうち、2年目である令和4年度は、流行歌の音楽と歌詞に関する調査を行った。主に以下の2点に取り組んだ。 第一に、前年度に引き続き、1890年代に大阪の三木書店より出版された『西洋楽譜 日本俗曲集』に関する資料調査を行った。『西洋楽譜 日本俗曲集』には、40曲以上の三味線俗曲の五線譜が収載され、幕末期から流行の三味線俗曲の旋律を伝えている。さらに、日本音楽の海外への伝播にも影響を与えた。調査では、初版から九版までの各版の特徴を明らかにし、三味線曲の五線譜化について考察した。研究の成果は「研究と報告「資料調査報告『西洋楽譜 日本俗曲集』」(『音楽学』第62巻2号、2023年)にまとめることができた。 第二に、三味線俗曲の楽譜集に関する調査収集を行った。近世期の詞章本には歌詞が書かれているが、替歌が多く作られたため、歌詞のみで曲名を特定することが難しい。そこで、近代期以降に出版された楽譜に着目し、旋律と歌詞から曲名を特定することを試みた。1888年から1910年代に出版された五線譜22冊と、1950年代以降に出版された文化譜11冊について調査し、約900曲の収載曲のデータベースを作成した。データベースでは、曲名、歌い出しの歌詞、三味線の調弦の種類等を一覧にした。曲名や歌詞の漢字表記には異同があるため、平仮名でも入力し、曲の異同を確認しながら作成した。『仮名手本忠臣蔵』をはじめとする歌舞伎を題材にした歌詞についても調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
三味線俗曲の楽譜集のデータベース作成に時間がかかっている。曲名や歌詞の漢字表記に異同があるため、平仮名でも入力し、曲の異同を確認しながら作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、三味線俗曲の楽譜集を収集し、データベースを更新する。近世期の詞章本には歌詞のみが書かれたが、近代期の1888年以降は五線譜による楽譜集が出版されるようになった。楽譜集のデータベースを作成し、曲名、歌詞、旋律を一致させることで、近世期の三味線俗曲についても旋律を類推することができるようになると考える。合わせて、近世期の詞章本についても解読を進め、歌舞伎を題材にした歌詞や、役者絵についても調査を行う。
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