研究課題/領域番号 |
21K00124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
福江 良純 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30710751)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 石井鶴三 / 近代彫刻 / 木彫 / 木取り / 島崎藤村 / 教育 / 木曽教育会 / 造形理論 / 3Dアニメーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代芸術の学術的資料に対し、そのデジタルデータの最適化を通して可視化するシステム環境の構築に独創性を有す。本研究が構築を目指す自由視点3Dアニメーションは、全制作工程が全方向から観察が可能である。これにより、これまでは写真などを手掛かりにする他はなかった「動勢(movement)」と呼ばれる形態評価指標に関し、実測に基づく3Dアニメーションによる検証が可能となる。この検証によって、近代彫刻の方法論の体系化に資する原理の究明が期待される。これは世界的に見ても貴重な成果となるところのものであり、研究成果は世界近代彫刻史の中に位置付ける学術的発信を想定するものである。
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研究実績の概要 |
2022年度においては、これまでに採取した作品並びに木片の3Dデータをコンピュータ上で統合し、そこより制作工程の再現を試み、一定のまとまった成果を上げた。この研究過程および各研究段階における成果は、調査対象を保管する木曽教育会並びに東京藝術大学等の関係者と複数回にわたって共有された。また、これまでの成果は日本図学会の2022年度全国大会、日本図学会第14回デジタルモデリングコンテスト、2022年度北海道支部例会・講演会で発表され、特に第14回デジタルモデリングコンテストにおいては最優秀賞を獲得した。 研究の成果物として目指される3Dアニメーションに関しては、その基礎となるデータが一定整理され、プロトタイプとしての藤村像(第1作)のアニメーション化にも着手されている。第1作プロトタイプは、2023年度初頭には完成の見込みで、この成果をもって第2作の3Dアニメーションが企画されるとともに、国内外の美術館関係者へプレゼンテーションされる予定である。 2022年度の実績は、集積された3Dデータを多方面で活用するための条件整備(空間配置とデータ形式の選択)を達成しただけでなく、残された資料に基づき、失われたものを3次元的に復元したところに最大の成果がある。これにより、これまでは、画像資料でのみ確認された制作途上の作品が3D画像で再現されるとともに、その3D出力も可能となった。この成果により、近代彫刻の制作工程中の位相が可視化されることになり、デジタルモデリングコンテストの受賞へと繋がっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果獲得としての進捗状況は、当初の想定をはるかにしのぐ進展があった。特に、3Dプリントによる成果物(制作工程途上に失われた作品本体の復元)による造形理論上の知見は、今後の研究の展開に重要な意味を持つ。その成果に比べ、予算的な制約により、3Dアニメーションの製作がやや後手に回っている。ただし、この点においても、拙速に成果物を急がず、実施可能な範囲で有効な成果物の作成を検討することで、より高次の研究成果に到達するものと確信する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主要成果物として目指される、木彫の制作工程を再現した3Dアニメーションについては、現在、第1作分のプロトタイプがほぼ完了している。研究助成の最終年度である2023年度においてはこの成果をもって藤村像第2作分の3Dアニメーションが同様の使用で企画されるとともに、第1作分プロトタイプは国内外の美術館関係者へプレゼンテーションされる予定である。このプレゼンテーションは、ここまでの研究成果の報告に留まらず、次年度以降の新規研究計画で構想される、近代彫刻のデジタルアーカイブ構想に向けた意見聴収でもある。
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