研究課題/領域番号 |
21K00130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 青山学院大学 (2023) 静岡文化芸術大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
天内 大樹 青山学院大学, 総合文化政策学部, 准教授 (40615035)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 展示 / 歴史 / デザイン史 / 都市史 / 都市アイデンティティ / 地図 / 模型 / コレクション / 観光 / 野外博物館 / 建築保存 / 地方都市 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の歴史学の傾向(メタヒストリー,グローバル・ヒストリーなど)にキャッチアップできるデザイン史学として,個別の事例に基づいた研究は蓄積されつつある.しかしそれを総体として統括できる視座は,まだ提供されていない.おそらくその結果として,美術家にとっての美術史,建築家にとっての建築史のようには,デザイナーにデザイン史が頼られていない側面がある.地方都市に設置されたミュージアムを焦点に,グローバル─ナショナル─ローカルという軸から,この視座を形成しようという試みである.
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研究実績の概要 |
大学授業の準備において展示論と地図論を集中的に扱うことにより,広い知見を得ることができた.これに基づいて米国東海岸のデザイン博物館,歴史博物館などを見学し,また福岡大学での研究会にあわせて九州国立博物館を見学したことで,展示という観点から歴史および都市空間を扱う立場を構築することができた.具体的には,デザイン史における通史とトピック史の関係について,都市の歴史やアイデンティティの確認における模型と地図の役割についての2点である.前者については,現在静岡文化芸術大学にて準備中のレオナルド・ダ・ヴィンチ模型に関する共同研究の報告書に掲載する論考を準備した(現在執筆中).都市を俯瞰する視点と理想都市を思い描く主体との関係を軸として,米国での見聞を取り込みながらダ・ヴィンチ模型にも適用できる議論を展開する予定である.後者については,日本文化政策学会,福岡大学「徳」と「政治」研究会などで口頭発表し,商業誌と学術誌で各々査読なしの論考として発表したが,もう少し丁寧に議論を積み上げて論考として再挑戦したいと考えている.とくに日本文化政策学会での復興記念館というモチーフを軸にした口頭発表を下に,査読論文を準備しているところである.東京・仙台・浜松に整備された復興記念館という文化施設における震災・戦災の記憶,都市の将来像を共有するための都市模型の役割について比較し,都市の歴史を語るためのツールとして展示物を考察する論文とする予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究当初,デザイン史の通史記述への態度を首都の博物館と地方都市の博物館という二つの立場を対比的に扱っていたが,スコットランドというそれ自体民族意識と独自のデザイン史の歩みを示す事例を取り上げたことから始まり,都市ごとに歴史を記述する方法論に逢着し,その具体的な現れとして都市模型や都市の歴史,アイデンティティの意識などに着目するよう変化している.思わぬ立場に移行しつつあるが,研究としては順調に執筆を行えているものと思われる.
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今後の研究の推進方策 |
日本文化政策学会で発表した復興記念館というモチーフを軸にする査読論文,静岡文化芸術大学にて準備中のレオナルド・ダ・ヴィンチ模型に関する共同研究の報告書に掲載する論考をそれぞれ投稿した後,展示全般と都市のアイデンティティ,歴史に対する態度との関係を考察し,適した事例を抽出することで,次の論考を準備する.またドイツ・スイスにおけるインダストリアル・デザインを中心としたミュージアムの見学日程を確保し,こちらも首都以外の都市における歴史への態度に関し,新たな知見を得る予定である.
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