研究手法としてのダンスドラマトゥルギーの系譜学的研究

• 研究課題/領域番号: 21K00131
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分01050:美学および芸術論関連
• 研究機関: 大阪公立大学 (2022-2023); 大阪市立大学 (2021)
• 研究代表者: 中島 那奈子 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (00728074)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2024-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2023年度)
• 配分額: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円); 2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円); 2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円); 2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
• キーワード: ダンス / ドラマトゥルク / ドラマトゥルギー / 老い / 芸術実践 / ダンスドラマトゥルギー / ポストモダンダンス / イヴォンヌ・レイナー / ポストドラマ演劇

研究開始時の研究の概要

ダンスドラマトゥルク・ダンスドラマトゥルギーの系譜形成を通じて、研究手法としてのダンスドラマトゥルギーを日本の舞踊研究へ学術的に導入する。ダンスドラマトゥルク・ダンスドラマトゥルギー研究は、1990年代以降、既存の研究手法を乗り越える形で生まれた、ダンスの実践的研究である。ドラマトゥルクは作品創作に携わり、かつ作品を内から分析する。ダンスドラマトゥルクとしての実績を持つ申請者は、ダンスドラマトゥルギーの系譜を、米国ポストモダンダンス、ドイツ・ポストドラマ演劇の書籍・資料読解と、ダンスドラマトゥルクへの活動調査に基づいて記述・分析する。

研究成果の概要

ダンスに固有の身体領域の理論化に特化したダンスドラマトゥルク・ダンスドラマトゥルギー研究とはいかなるものでありうるのか、また、それはどのような系譜のもとで成立するのか？という問いのもと、その系譜を米国・カナダ・欧州での調査を踏まえ、新たにたどり直した。そして、それをダンスドラマトゥルクとして申請者が行ってきた実践をも交えて言説化することで、ダンスドラマトゥルギーの手法を理論的・歴史的・実践的観点から日本の舞踊学に導入した。アジアのドラマトゥルク言説化にも貢献し、英国ラウトリッジ社と単著出版契約を締結し、2024年には国内外のドラマトゥルクを招聘し日本初のドラマトゥルク・ミーティングも開催した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

この研究ではポストモダンダンス再考・ダンスドラマトゥルクの研究集成・ダンスドラマトゥルク実践の言説化をへて、ダンスドラマトゥルクの系譜学を踏まえた実践の言説化を行った。その成果は単著「老いのダンスドラマトゥルギー」の出版契約に結びついただけでなく、研究手法としてのパフォーマンスを理論化する国内外での発表を通じて、その手法を学術的に舞踊学に導入した。2024年には国内外のドラマトゥルクを招聘し日本初となるドラマトゥルク・ミーティングを企画開催して多くの参加者を集め、全国紙での報道など一つのムーヴメントに結びつけた。研究手法としてのダンスドラマトゥルギーを社会的に導入する大きな一歩となった。

研究成果

• [国際共同研究] Universite Libre de Bruxelles(ベルギー)
• [国際共同研究] 早稲田大学(日本)
• [雑誌論文] ダンスのアーカイブ化とデジタルアーカイブの現状 (2023)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子
  • 雑誌名: デジタルアーカイブ学会誌 巻: 7 号: 1 ページ: 18-23
  • DOI: 10.24506/jsda.7.1_18
  • ISSN: 2432-9762, 2432-9770
  • 年月日: 2023-02-01
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] A History of Buto. By Bruce Baird. New York: Oxford University Press, 2022. Pp. 272. ￡81.00/$125.00 Hb; ￡25.99/$39.95 Pb. (2023)
  • 著者名/発表者名: Nakajima Nanako
  • 雑誌名: Theatre Research International 巻: 48 号: 2 ページ: 220-221
  • DOI: 10.1017/s0307883323000093
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Остаряващото тяло и танца(老いた身体とダンス) (2023)
  • 著者名/発表者名: Nanako Nakajima
  • 雑誌名: dancemag.eu 巻: 5 ページ: 48-53
  • オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] The Archive and Repertoire of Butoh: Takao Kawaguchi's About Kazuo Ohno/舞踏的档案與舞碼：川口隆夫《關於大野一雄》 (2022)
  • 著者名/発表者名: Nanako Nakajima/中島那奈子
  • 雑誌名: Networked Bodies: The Culture and Ecosystem of Contemporary Performance/身體網絡：當代表演的文化與生態 巻: 0 ページ: 36-44
  • 国際共著
• [雑誌論文] 舞踏の外、身体の内ー室伏鴻と即身仏ー (2022)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子
  • 雑誌名: 舞台芸術 巻: 25 ページ: 151-167
  • 査読あり
• [学会発表] パネル「『ままならな い身体』をめぐる思考と実践」「不／自由なダンス――老いを巡るダンスドラマトゥルギー」 (2023)
  • 著者名/発表者名: 小澤京子, 宮川麻理子，中島那奈子，小川千尋， 外山紀久子
  • 学会等名: 表象文化論学会 第17回大会，東京大学
• [学会発表] 先住民と伝統 ーカナダ・バンフセンターでのダンスドラマトゥルギー (2023)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子
  • 学会等名: DAAD友の会オンライン講演会
  • 招待講演
• [学会発表] Introducing Dance Dramaturgies of Aging: A Journey of Negotiating Identity Across Generations, Dance Cultures, and Embodied Histories in between Continents (2023)
  • 著者名/発表者名: Nanako Nakajima
  • 学会等名: ULB Comparative Dramaturgy WS in Brussels
  • 国際学会
• [学会発表] Dance Dramaturgies of Aging in East Asian and Euro-American Contexts (2023)
  • 著者名/発表者名: Nanako Nakajima
  • 学会等名: The University of Alberta, Canada
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] フォーエバーポストモダンダンス (2022)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子
  • 学会等名: 京都国際舞台芸術祭 KYOTO EXPERIMENT
  • 招待講演
• [学会発表] Is this working? A dance dramaturgy long table (2022)
  • 著者名/発表者名: Nanako Nakajima, Rachael Fensham, LIM How Ngean and Priya Srinivasan
  • 学会等名: The Keir Choreographic Award Public Program
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Dance Archive Box (2022)
  • 著者名/発表者名: Nanako Nakajima, Gabriele Brandstetter
  • 学会等名: Department of Germanic Languages, Deustches Haus, Columbia University
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] The Dramaturgy of Aging (2022)
  • 著者名/発表者名: Nanako Nakajima
  • 学会等名: The Graduate Center, The City University of New York
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] The Dramaturgy of Aging in Postmodern Dance Tradition (2022)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子
  • 学会等名: Tanzquartier Wien
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] About Inter- and Intra (2021)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子
  • 学会等名: アジアドラマトゥルクネットワーク・ディスカッション
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Embracing the aging body in dance (2021)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子
  • 学会等名: Time Shifts Age(ing) and Society
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Waking up the Dance Dramaturgy of Aging (2021)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子
  • 学会等名: tempus fugit by DnKspace, L’Institut francais de Bulgarie, and Goethe-institut Bulgaria
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Ageless Dance (2021)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子
  • 学会等名: Symposium, Alkantara festival
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] ラーマ王の未来への旅路 (2021)
  • 著者名/発表者名: 中島那奈子、ピチェ・クランチェン
  • 学会等名: Pichet Klunchun and Three Dramaturgs, Yokohama International Performing Arts Meeting 2021 (YPAM2021)
  • 国際学会 / 招待講演
• [図書] The Aging Body in Dance: A cross-cultural perspective (extract) Cahiers de danse #0 (2023)
  • 著者名/発表者名: Nanako Nakajima Transtatus | Fenia Kotsopoulou
  • 総ページ数: 46
  • 出版者: la briqueterie centre de developpement choregraphique national du Val-de-Marne
• [図書] Dramaturgies of Interweaving Engaging Audiences in an Entangled World (2021)
  • 著者名/発表者名: Nanako Nakajima, Erika Fischer-Lichte, Christel Weiler, Torsten Jost, Paul Carter, Andrej Mircev, Peter Eckersall, Hana Worthen, Catherine Diamond, Michael Roes, Amos Elkana, Claudius Luenstedt, Peter M. Boenisch, S.E. Wilmer, Kaite O'Reilly, Barges Haschempour, Peter Lichtenfels, Kamaluddin Nilu, David Moss
  • 総ページ数: 302
  • 出版者: Routledge
  • ISBN: 9781032034218
• [備考] What We Talk About When We Talk About Dancing.
  • URL: http://www.nanakonakajima.com
• [備考] ダンスドラマトゥルギー
  • URL: http://www.dancedramaturgy.org
• [備考] What We Talk About When We Talk About Dancing
  • URL: http://www.nanakonakajima.com/?p=2178
• [備考] Dance Dramaturgy
  • URL: http://www.dancedramaturgy.org
• [備考] 「ピチェ・クランチェンと三人のドラマトゥルク」動画コレクション、ダンスドラマトゥルギーウェブサイト
  • URL: https://www.dancedramaturgy.org/#movie-collection
• [備考] 「ピチェ・クランチェンと三人のドラマトゥルク」日本語概要
  • URL: https://www.dancedramaturgy.org/articles/J6-1.html
• [備考] 「ピチェ・クランチェンと三人のドラマトゥルク」企画概要
  • URL: http://www.nanakonakajima.com/?page_id=1838&fbclid=IwAR1NziLHkv12MMrr77sR_pvCeVOBnRt45aCghxQoW5jEu20ZaJxUWX-RaBI
• [学会・シンポジウム開催] ドラマトゥルク・ミーティング (2024)