研究課題/領域番号 |
21K00132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
矢澤 利弘 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (50563219)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | イタリア映画 / サスペンス映画 / ダリオ・アルジェント / 映画 / 国際展開 / ジャーロ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は様々な映画作品の分析に応用可能な映画作品の国際展開についての理論を構築することである。そのために、英語で制作するなどの方法で作品の海外輸出を積極的に推し進めてきたイタリアのサスペンス映画(ジャーロ映画)を研究対象として選択した。本研究は文献・映像資料調査、データベースの構築、シンポジウムの開催、書籍の刊行などを通じて、ジャーロ映画の全容を歴史的、芸術的に明らかにし、それらの映画の国際展開力を明確にすることを通じて、研究目的を達成しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本年度は文献調査を中心に、イタリア映画の鑑賞と分析、学会での資料収集を行なった。また、研究会と講演会で研究成果の公開を行なった。 文献調査においては、主にイタリアおよび英米で出版されているジャーロ映画に関する研究書を入手のうえ、記述内容を分析した。イタリア映画の最新動向を把握するために、イタリア映画祭などの映画祭に参加し、本研究テーマに関連があると考えられる作品を鑑賞し、資料を収集した。また、日本映像学会の年次大会に参加し、研究発表を聴講することによって、分析に対する示唆を得ることができた。 研究成果の公表については、5月と12月にダリオ・アルジェント作品を中心とするジャッロ映画に関する研究会を開催した。5月の研究会においては、ジャーロ映画に関する最新の研究動向について整理したほか、ダリオ・アルジェント監督の『わたしは目撃者』についての作品分析と制作過程についての調査結果を発表した。12月の研究会においては、ジャーロ映画に対するアメリカ映画と小説の影響をテーマにした研究発表を行なった。11月に開催されたホラー映画に関する講演会においては、研究の中間成果に基づいて、イタリア映画を中心にアメリカ映画を含めた恐怖映画の特徴と魅力についての講演を行なった。また、本研究の作品分析において、中核的な映画監督であるダリオ・アルジェントの新作が2023年4月に公開されることになったのに伴い、作品分析を行い、日本語字幕の監修および解説文の執筆、映画上映後の解説などを行なった。その結果として、本研究テーマの精緻化をすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体として、研究の進捗は予定よりも遅れていると自己評価している。現時点において、文献調査によって、1970年代以前のジャッロ映画の国際展開の動向についてはほぼ整理ができつつある状況である。一方、本研究計画においては、研究期間を通じて、各年度でイタリアでの調査研究を実施し、現地でのフィルムアーカイブでの資料収集を実施する予定であった。しかし、新型コロナ禍の影響で海外渡航が困難となり、現地調査を延期せざるを得ない状況が続いていた。そのため、当該部分の研究計画は実施できていない。イタリアでの実地調査の代替的措置として、文献調査やイタリア在住の知人とのメールでのやり取りなどで補完したが、研究遂行の遅れを完全にカバーするには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナも終息傾向にあり、海外渡航も実施できる環境になってきたため、2023年度においては、8月から9月頃を目処にイタリアへ渡航し、現地調査を実施する計画である。データを入手後は年度内に中間的な成果を論文にまとめる方針である。 研究の範囲については、当初は幅広くジャーロ映画全体を対象にしていたが、研究期間が満了に近づいているため、研究対象を絞り込むことにする。具体的には、作品の国際展開が顕著な映画監督であるダリオ・アルジェント作品を中心的な研究対象とすることによって、研究時間と資源を集中させ、明確な研究成果があげられるようにする。研究結果の書籍化を念頭に、2024年3月までを目処に原稿を取りまとめるようにしたい。
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