研究課題/領域番号 |
21K00134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 多摩美術大学 |
研究代表者 |
笠原 恵実子 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (40740692)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | アメリカ現代美術 / アメリカン・インディアン / アース・ワーク / 植民地主義 / ショショーニ族 / スパイラル:ジェッティ / サン・トンネル / ダブル・ネガティブ / アメリカ現代美術史 / ネバダ核実験場 / 覇権主義 / コロナ禍 / 日本美術史 / 文化人類学 / アイヌ / 沖縄 / アースワーク / 戦後アメリカ美術 / 先住民文化 / ポストコロニアル理論 |
研究開始時の研究の概要 |
先住民文化は1960-70年代のアースワーク作品によって、アメリカ現代美術の美学とし定着した。しかし、西洋の物質中心主義に異を唱えるリベラルなアースワークは、実は先住民文化の擬態や自然破壊とも結びつくといった二律背反性を持っており、白人アーティスト達の先住民文化に対する羨望や美化の視点には、植民地主義的思考が内包されている。本研究はこういった背景を踏まえ、アメリカ現代美術とその美学を、被抑圧者である先住民の視点で捉え直す。また、俯瞰に偏りがちな研究方法を脱し、先住民と申請者が直接対話を繰り返すフィールドワークを通して、ドキュメンタリービデオが生成される。
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研究実績の概要 |
研究開始年2021年度はコロナウィルス感染状況が沈着していなかったため渡米することができず、アースワーク作品を訪問・撮影するフィールドワークを行うことができなかったため、国内においてアースワーク作品及び先住民文化の研究を行った。その結果、日本戦後美術史とアメリカ戦後美術史との比較、アイヌ史・沖縄史とアメリカン・インディアン史との比較の二点は大変重要であることと考えるに至っている。 2022年度は前年に予定していたフィールドワークを8月15日から29日にユタ州とネバダ州を中心に行い、スパイラル・ジェティー(ロバート・スミッソン作)、サン・トンネル(ナンシー・ホルト作)、ダブル・ネガティブ(マイケル・ハイザー作)の3作品を訪れ、それぞれ撮影を行った。また、作品周辺のショショーニ族居留地、及び部族代表事務所を訪れ、スカル・ヴァレー・インディアン居留地とノースウェスタン・バンド・オブ・ショショーニ・ネイション事務所を訪れ、本研究についての意見交換や、ショショーニ部族の人々へのインタビューの可能性について話をすることができた。また、ラスベガスにあるNational Atomic Testing Museum(国立核実験美術館)を訪問し、本研究の対象地域が核廃棄や核実験の行われる地域と大きく重なる点についても再認識し、政治的文脈の考察をさらに深めることとなった。 2023年度は前年のフィールドワークを基に新たに渡米する予定であったが叶わず、国内での研究にとどまったが、2022年度に行なったフィールドワーク内容の精査・考察をメインとし、特に1)訪れたアースワークとその作家(Michael Heizer, Nancy Holt, Robert Smithson)の研究、2)アースワークと核・生物兵器を扱う米軍施設とのロケーションに類似点が多いことに着眼した考察、の2点を行なってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度はコロナウィルス感染状況が沈着していなかったため、渡米してフィールドワークを行うことができなかったことと、2023年度に同居の母の容態が悪化し継続的な介護をしなければならず、日本を1週間以上空けるフィールドワークができなかったこと、の2点が理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、アメリカ合衆国の四つの州(ユタ、ネバダ、アリゾナ、ニューメキシコ)における2回のフィールドワークを予定し、研究を推進させたい。時期としては現地の祭り(POW WOW)の日程と重なる5月後半から6月初頭の1週間ほどと、トリニティー・サイトが開錠される10月19日の前後一週間ほどを予定している。内容としては、1), 2022年度に訪ねた部族コミュニティとの現地でのインタビューや、風景・街並みなどといった作品に用いられる素材撮影を行うことと、2), 前回のフィールドワークで明らかとなった、“アースワークと核・生物兵器を扱う米軍施設の立地場所に類似点が多い”という点に着目し、精査・考察を続けていく、の2点となる。
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