研究課題/領域番号 |
21K00135
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
馬 定延 関西大学, 文学部, 准教授 (90625047)
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研究分担者 |
大坂 紘一郎 京都芸術大学, その他の研究科(大学院), 准教授 (50969699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 現代映像芸術 / 映像メディア / スクリーン・プラクティス / インスタレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、研究代表者の論文「光と音を放つ展示空間ー現代美術と映像メディア」(2019)のなかで捉えたスクリーン・プラクティスの理論と展覧会の歴史を、同時代の映像芸術の実践と批評と接続させ、発展的に理論化することを目標とする。未邦訳の主要文献の翻訳と並行して、映像作家による作品制作と展示を追跡調査しながら、ポスト・コロナ時代における映像芸術作品の美学と受容を実証的に究明し、最終成果を書籍『現代美術と映像メディア(仮題)』として出版する。
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研究実績の概要 |
2021年末から研究代表者とオンライン研究会を共同企画・進行してきた、キュレーターの大坂紘一郎氏が、2022年度から研究分担者として本研究に加わった。国内外の専門家を中心に非公開で行われた小規模の共同研究の成果は、表象文化論学会第16回研究発表集会のシンポジウム「映像と時間:レトロ/プロ=スペクティヴについてのいくつかの覚書」の企画に発展的に受け継がれた。研究代表者と研究分担者は、シンポジウムにそれぞれ司会とパネルリストとして登壇し、演劇と映画を専門とする他の2人のパネリストとともに、科研費で招聘したホー・ツーニェン氏の20年あまりの芸術的実践を様々な角度から検証した。
研究代表者は、2022年から2023年まで美術家の田中功起氏とオンラインマガジンART iTの誌上で「現代美術と映像メディア」をめぐる手紙形式の対話を渡って行った。2023年5月13日に国立国際美術館で開催される第25回中之島映像劇場「現代美術と映像_田中功起との対話」という上映会とトークは、その成果を踏まえて企画されたものである。
研究分担者は、2022年12月に本人の主宰するアサクサで、オーストリア出身のアーティスト/映像作家、ハイドルン・ホルツファイント氏の国内初の個展「こんな今だから。(アサクサエンターテインメンツ2022「知らないことの政治学」)」を企画した。2023年1月末から2月末にかけては、シンガポール美術館(SAM)のキュラトリアルレジデンシーに招かれ、とくにシンガポールとマレーシアを拠点に活動する映像メディア作家と美術批評家と交流した。翌3月からゲスト講師として韓国芸術総合学校にて授業を担当しつつ、コロナ禍、そしてその前後における各アートスペースでの映像メディアの実践の変化について、ソウル市内の関係者にインタビューを行い、本研究の一次資料を収集している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現代美術のキュレーションを専門とする研究分担者の合流によって、「現代美術と映像メディアに関する実証的研究」というテーマが一層深化され、国際シンポジウムの形で学術的に検証する場を設けることができた。最終年度の2023年度には、前年度に引き続き、国内外の同時代の現代美術家による映像作品の美学を研究していくと同時に、その成果をまとめる作業に入る。
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今後の研究の推進方策 |
①ホー・ツーニェンの日本三部作(《旅館アポリア》、《Voice of Void - 虚無の声》、「百鬼夜行」)について研究代表者の書いた論考「ホー・ツーニェンの日本三部作をめぐって(仮)」が、2023年に刊行されるアンソロジー『この国(ルビ:近代日本)の芸術:戦後日本美術史を脱帝国主義化する』(小田原のどか・山本浩貴編、月曜社、2023年)に収録予定である。なお、本書の同章に、研究分担者のインタビュー「アサクサと脱帝国主義(仮)」が収録される予定である。 ②研究代表者の解題とともに、表象文化論学会第16回研究発表集会のシンポジウム「映像と時間:レトロ/プロ=スペクティヴについてのいくつかの覚書」の記録が、2023年に刊行される『表象』第17号に収録される予定である。 ③研究代表者が前年度に実施したヒト・シュタイエルの「データの海」展の実見とインタビュー資料をベースに執筆中の論考を、2018年に「ヒト・シュタイエル:Q&A」を企画・進行した研究分担者の知見を参照しつつ、完成して発表する。 ④研究代表者と研究分担者は、2023年春に韓国ソウルで、複数人の現代美術家に映像制作に関するインタビュー調査を行い、資料化する予定である。
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