研究課題/領域番号 |
21K00136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
亀田 真澄 中京大学, 国際学部, 講師 (70726679)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 感情学 / Victimhood Culture / 共感研究 / セルゲイ・トレチャコフ / リチャード・ライト / 感情論 / ソ連文化 / アメリカ文化 / 共感 / 宣伝 / プロパガンダ / 映像 / 映画 / アメリカ / ソ連 |
研究開始時の研究の概要 |
意図的に共感を起こさせるものに取り囲まれているというのは、現代社会に特徴的な文化現象である。本研究は、第三者によって創出・操作され、集団的に感じられる共感を「マス・エンパシー」と定義づけることで、近年一種のブームとなっている共感研究に文化史的視座を提供する。20世紀初頭、映画・文学作品や万博等の展示において、共感を与える手法が用いられるようになった過程、1930年代アメリカの「マス・エンパシー」を利用する文化産業や宣伝手法が、同時代、スターリニズム期のソ連へと与えた影響を分析した上で、「マス・エンパシー」を喚起する文化実践が広まっていったことを、比較的・文化史的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年3月に単著『マス・エンパシーの文化史』(東京大学出版会)を出版し、これまでの成果をモノグラフにまとめることができたため、今年度からはさらに、感情論の観点から1930年代の「感情規範」としてマス・エンパシーが生まれたことが、現代の感情規範へとどのような影響を与えているのかという観点を付け加えて研究を進めている。その成果として、国際シンポジウムで「Social Heaviness of Emotions: Tretyakov and Triaging Other’s Feelings INTERFACEing 2023 “Changing Paradigms: Humanities in the Age of Crisis” (2023年9月25日)」の発表、 単著論文 "Mass Empathy in New Deal and Stalinist Propaganda: The Path to Victimhood Culture" in: Interface: Journal of European Languages and Literatures 23 17-44, March 2024(査読付き)を発表したほか、単著論文「『苦しみ』のトリアージ-トレチャコフとライト作品の感情表象から考える」、2024年2月15日、武田悠一・武田美保子編『情動の力-文学/文化批評の現在』(仮題、小鳥遊書房より2024年7月に出版予定)および単著論文「感情移入に抗して-セルゲイ・トレチャコフ『デン・シーフア』から考える」、村田裕和ほか編『吼えろアジア』(森和社より2025年2月に出版予定)に出版予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、1930年代を中心とする時代において、マス・エンパシー(集合的共感)が宣伝によっていかに作られたかという研究を想定していたが、そこから発展して、現在の「犠牲者文化(Victimhood Culture)」との関連について研究を進めることができているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、感情史研究書として有名であるが邦訳のなかったSvetlana Boym, The Future of Nostalgiaを単独で翻訳中であるが(白水社より来年度中に出版予定)、その文脈を踏まえつつ、これからはアメリカ、ソ連、ドイツにおいて1930年代に広まった、感情に軽重をつけない(トリアージをしない)という感情規範が、いかに現代の犠牲者文化(Victimhood Culture)の土台となったか、という観点へと研究を発展させたい。
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