研究課題/領域番号 |
21K00138
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
明木 茂夫 中京大学, 国際学部, 教授 (10243867)
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研究分担者 |
遠藤 徹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10313280)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 江戸時代の雅楽 / 三河国挙母藩 / 内藤政成 / 東洋古典音楽理論 / 古典的転調理論 / 宮調論 / 反音・返音 / 安倍季良 / 山鳥秘要抄 / 律呂 / 三河国衣乃里艶桜和歌集 / 反音、返音 / 豊田市中央図書館 / 雅楽 / 古典音楽理論 |
研究開始時の研究の概要 |
補助事業期間の三年間、上記の共同調査及びデータの共同解析を行い、その成果を論文等として発表する。また主に研究代表者の本務校中京大学のウエブページや学術情報リポジトリなどを用いて、研究成果をネット上に公開する。併せて、補助事業期間中に単行本『豊田市中央図書館所蔵楽書の研究 -『山鳥秘要抄』とその周辺』(仮題)の刊行を企画中である。
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研究実績の概要 |
昨年度に続いて豊田市中央図書館の所蔵する三河国挙母藩旧蔵の雅楽資料に関する調査を進めた。特にそれら資料が旧挙母藩主内藤家から同図書館に寄贈された経緯や現在の所蔵状況について、挙母藩の目録および昭和30年代の関係者の文書の解析を行い、さらに目録に記されたすべての書籍について、現在の図書館の貴重書庫の蔵書との照らし合わせを実施し、収蔵状況や書物相互の関係について分析を行った。これにより、現在同図書館の所蔵する江戸期雅楽資料はいずれも、旧藩主内藤家、特に第4代藩主内藤政成の旧蔵、もしくは内藤政成が直接に関わった資料であったことが明らかになり、当時の挙母藩の雅楽方面の活動の一端を明らかにすることができた。 その調査結果は論文「豊田市中央図書館所蔵の挙母藩主内藤家旧蔵書について ―その受領の際の記録をめぐって」(中京大学図書館学紀要43巻)として発表し、さらに豊田市中央図書館との共催講演会「和装本の愉しみ 図書館に伝わる江戸時代の書物に触れる」において一般市民にも公開した。 さらに、上記調査により未知の雅楽資料である「舞楽拍子合」「振鉾右方」「振鉾左方」を発見した。これは武道(弓道)の書物の帙に入れられていたもので、従来目録にも記されていない新出の資料である。内容的には江戸の田安家の田安宗武・治察と三河の内藤家との間に何らかの交流があったことを示す資料だとみられる。これについては京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター2022年度3月共同研究会にて研究発表を行い、研究分担者を含む日本音楽研究者と討論を行って、今後の研究方針について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度計画していた、現在の豊田市中央図書館における挙母藩旧蔵書籍の収蔵状況および挙母藩蔵書目録との関連については、同図書館貴重書庫の蔵書の点検調査を行った結果ほぼ明らかにできた。また、旧挙母藩主内藤家が昭和30年代まで所蔵していた書籍(特に古典籍)がいよいよ豊田市立図書館に寄贈される際の記録(目録に添付された追記)を入手し、その解析を行って、当時内藤家から豊田市に蔵書が寄贈された経緯とその内容を明らかにできた。さらに上記調査に際して、偶然にも他の分野の書物の帙に入れられていた未知の雅楽資料を発見する、という望外の成果も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
挙母藩旧蔵の雅楽資料の内容について、いまだ未解決の部分が多く残されているので、その解析を進める予定である。特に難解な「反音」(古典的転調の一種)の解釈を中心に解析を行う。併せて、挙母藩の写本と他藩の写本とを照合し、その伝写の過程も明らかにしたい。また挙母藩旧蔵の他の書籍に関しても、上記目録に記載されていないものが図書館には数多く所蔵されているので、引き続き調査を行う。さらに、偶然発見した上記の未知の雅楽資料については、京都や江戸の中央の楽家や他藩の資料を参照しながら、その内容の分析を進めたい。
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