研究課題/領域番号 |
21K00140
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
大迫 知佳子 広島文化学園大学, 学芸学部, 准教授 (40624218)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ベルギーの音楽 / ナショナリズム / ワロンの音楽 / フランデレンの音楽 / ベルギー / 音楽史 / ベルギー音楽 / ブリュッセル王立音楽院 / アントウェルペン王立音楽院 / リエージュ王立音楽院 / 多文化共生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多文化国家ベルギー形成に音楽が果たした役割を解明するものである。そのため、19世紀後期~20世紀中期のベルギー諸言語圏における、王立音楽院院長達の著作・作品・教育構築活動と、音楽文化・教育政策との関係を、諸外国文化受容の諸相も含めて読み解く。それによって、国内外の音楽文化の複雑な均衡の中で「ベルギー的なもの」がいかに創出され、それが国民統合の面でベルギー形成をいかに支えたのかを考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、19世紀後期から20世紀中期のベルギー諸言語圏における、王立音楽院院長たちの著作・作品・教育構築活動と、音楽文化・教育政策との関係を読み解くことを通して、国内外の音楽文化の複雑な均衡の中で「ベルギー的なもの」がいかに創出され、それが国民統合の面でベルギー形成をいかに支えたのかを考察するものである。概ね当初の研究実施計画にしたがって、2023年度は以下の2点を中心に研究を進めた。 1)2021年度に収集したブリュッセル、アントウェルペン、リエージュの各王立音楽院院長らによる音楽作品のうち、特に、国家行事と関連するなど「国民/民族的な特色を持つ」と考えられるものを中心に楽曲分析を行なった。併せて、補足で必要となった楽譜等の収集・分析も行なった。 2)美術・文学分野の先行研究における「ベルギー性」を整理し、本課題における記述・楽曲分析の結果と比較した。 その結果、1)については、ベルギー王立音楽院院長たちの思想と諸政策とが連動し、音楽作品における「ベルギー的なもの」・「ワロン的なもの」・「フランデレン的なもの」という3つの在り方が同時的に模索されていたことが解明された。2)については、諸芸術共通の「ベルギー性」(例えば、「ゲルマン性とラテン性の混交物」という定義に概ね基づく点など)と、音楽固有の「ベルギー的なもの」(例えば、民謡の旋律の借用など。ただし、これがワロン的・フランデレン的ではなく「ベルギー的なもの」をいかに創出し得たかという点については更なる検討が必要)を解明することができた。 上記研究成果の発表については、本報告書「研究発表」の項目に示した。また、アウトリーチ活動として、オンラインレクチャー「音楽×美術 多文化国家ベルギーの芸術の謎に迫る」を企画・開催した。なお、昨年度の実施状況報告書に記載した学会誌への投稿も予定通り行い、2024年5月に採択決定通知を受領した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響により、2021年度に行う予定であった海外渡航を延期した。この延期に伴い、ベルギーにおける資料調査・収集・研究協力者たちとの面談等が未遂行となった。この積み残した遅れをそのままに、2023年度の計画を先に進めたため、積み残し部分の進捗に遅れが見られる。 以上のことから、本研究はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、①収集済み資料の分析を進めること、②国際学会等を通して各国の研究者や在白の研究協力者との議論を深めること、ができた。2024年度は、これらを踏まえて、2023年度まで積み残してきた現地での資料調査・収集・分析・面談等を、オンラインツール等も併用して効率よく行い、研究成果の社会への還元につとめる。
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