研究課題/領域番号 |
21K00149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
紙屋 牧子 玉川大学, 芸術学部, 非常勤講師 (20571087)
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研究分担者 |
大傍 正規 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究員 (40580452)
高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30202146)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 映画 / 映像文化 / 視覚文化 / メディア / 表象 / 検閲 / 天皇・皇族・皇室 / 天皇制 / フィルム |
研究開始時の研究の概要 |
昭和天皇(当時は皇太子)が1921年に渡欧した際に撮られた『皇太子渡欧映画』の持つ革新性はこれまで複数の論者が指摘してきたことである。しかし、この映画を挟んで大きく変わった皇室のメディア報道について、いまだ映画を軸とした検討が充分に為されているとは言い難い。本研究は、近代化・現代化を目指した皇室と大衆文化としての映画との影響関係の重要性を、映画学の立場から問い直すものである。そのために、『皇太子渡欧映画』以前・以降の映画に「描かれた」天皇・皇族のイメージについて、そして、検閲の問題を視野に入れつつ、「描かれなかった」(禁止された)天皇・皇族のイメージについて考察する。
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研究実績の概要 |
本年度は、国内のアーカイブにおけるフィルム及び文献資料の調査・分析を重点的に進めつつ、これまでの研究交流によって得た人脈を活用して海外のアーカイブのコレクションの所蔵調査を電子メール等によって実施し一定の成果を得た。また紙屋牧子は、京都大学人文科学研究所の共同研究班「近代日本の宗教と文化」(班長:高木博志)の班員に加わり、第13回研究班(2023年6月)において報告をおこなった他、定期的かつ領域横断的な研究交流に参加することによって、今後の研究課題に繋がる問題関心を得た。 成果公開としては、紙屋が、明治大正期の日本映画に反映された帝国主義的発想とそのイメージについて検討した論文を執筆し、学会誌『映像学』110巻(2024年8月)に掲載された。紙屋はまた、大正期の日本映画と宗教の関係についても検討し、2023年11月に開催された「映画とシンポジウム:甦る、琵琶映画の響き」(於早稲田大学)において、「映画『日蓮上人 龍乃口法難』(1920年)を考察する ──聖地巡礼と〈奇跡〉の表象──」というテーマで口頭発表をおこなった。さらに、紙屋と高木博志が、人文研アカデミー2023シンポジウム「近現代天皇制を考える学術集会──「建国記念の日」」(2024年2月11日/於京都大学)に登壇し、紙屋が「昭和天皇の外遊(1921年)をめぐるイメージ・ポリティクス」というテーマで、高木は「天皇制と陵墓問題――世界遺産名称「仁徳天皇陵古墳」を問う」というテーマで講演をおこなった。大傍正規は、日本映像学会第49回大会(2023年6月/於明治学院大学)において、「南極探検記録映画の複数バージョンー1930・1950年版の同定研究」というテーマで、近代国家形成期に撮られた『日本南極探検』(1912)のフィルムが辿った経緯をフィルムアーキビストの立場から明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画のうち予定通りに実施できなかったものもあるが、有意義な研究交流によって今後の研究課題に繋がる問題関心を得、また査読付論文の公開や講演など、一定程度の研究成果の公開を果たした為、「やや遅れている」程度と判断し得る。
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今後の研究の推進方策 |
国内外のアーカイブにおけるフィルム及び資料の調査・分析をさらに進め、学会発表・論文執筆をおこなう。そのうえで、継続的・発展的な研究を目指す。
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