研究課題/領域番号 |
21K00150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
水野 僚子 日本女子大学, 国際文化学部, 准教授 (30469209)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 女性像 / 物語絵画 / 死 / 病 / 仏教 / 身体 / 絵巻 / まなざし / ジェンダー / 日本絵画 / 物語 / 在外美術 / 日本美術 / 在外作品所蔵調査 / 表象 |
研究開始時の研究の概要 |
日本中近世の物語絵画に描かれた女性表象における、描写の型や属性に注目し、作品制作や鑑賞に関与した女性の存在の解明を目指す。 女性表象の構築には、制作当時のジェンダー観や宗教的・政治思想が深く関与すると思われるが、聖俗の境界、異国や異界に配された女性像には、世俗の価値観やジェンダー観に縛られないものが見られる。こうした女性像の創出には、作品制作や鑑賞における女性の主体的関与が背景にあったことが推測される。描かれた女性像の①風俗や仕草、②当時のジェンダー規範や社会的・宗教的思想との関連、③表象の引用や転用の様相における女性の「語り」の要素に着目し、女性が主体的に絵画制作に関与し可能性を問い直す。
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研究実績の概要 |
本年度は、前年度実施した海外での調査で得られた写真資料や資料を整理し、女性像のデータベースを充実させること、同主題や類似の物語絵画(特に御伽草子類)の国内所蔵調査を行い、調査の申請を行った。本来なら調査を実施したかったが、新学部の開設年度と重なり本務の仕事量が想像以上に増加したため出張が叶わず、スケジュールの調整ができず、作品調査がほとんど実施できなかった。来年は最終年度ではあるが、調査は継続して行っていきたい。そのような中、九州地方での調査に限っては、年度末にまとめて実施できた意義は大きかった。佐賀県立博物館、九州国立博物館、福岡市美術館において、重要な中世絵画(病草紙)や九相図等の宗教絵画に登場する「負のイメージ」の女性像の熟覧により、図版の調査では不十分であった細部表現や資料を見いだすことができたことは重要であった。 一方、前年度の成果でもある、欧米の研究者との交流が、研究会やシンポジウムへの参加によって継続でき、研究の方向性や新たな視点をアップデートすることができたことも重要である。ただし、昨年から準備を続けてきた国際美術史学会でのパネル発表(欧米の研究者とパネルを組んだ)が、直前にトラブルにより実現できなかったことは非常に残念であった。ただし、西洋美術史の研究者との共同研究に参加したことで、台湾・シンガポール等アジアの研究者と交流ができたことは大きな成果であった。視野が広がっただだけでなく、研究の一部を台湾の美術館のジャーナルに英文で発表する機会も得た。これまで、アジアの研究者と接点が少なかったが、このような機会に恵まれたことの意義は大きく、今後の研究に非常に役にたつものであると考える。 研究計画としては遅れていることが否めないが、最終年の来年度はより一層、調査などのフィールドワークを進めるとともにまとめの作業を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度までのコロナ禍の影響に加え、所属大学の大規模組織改変により、自身の学科が改変で学部化され、本務の業務が予想以上に増えたため。 夏季休暇中も、業務で常に多忙であり、遠方への調査を行うためには連続した休みが必要であったが、それが取得できなかったため。 また、体調をくずしてしまったことも、調査研究にうちこめなかったことの要因である。
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今後の研究の推進方策 |
大学の本務を効率的に実施したり、有給をとることにより、まずは調査研究の時間を捻出することに努力したい。本年度は最終年度となることから、できる限り遅れを取り戻すよう努力するとともに、計画をより一層綿密にたて、研究を遂行するよう努力したい。 今年度は、研究全体をまとめる作業も必要であることから、アルバイトなど、研究補助者の協力を得ながら、効率よく、計画的に研究を遂行したい。
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