研究課題/領域番号 |
21K00156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
石井 匠 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 科研費支援研究員 (70638478)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 文様破調 / 相互浸潤 / 岡本太郎 / 3D写真計測 / 3Dモデル / 芸術考古学 / 美術考古学 / 3D計測 / 日本美術考古学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、縄文~古墳時代の美に貫流する共通の要素と目される土器の「文様破調」に焦点を当て、3Dモデルを用いた土器面全域の文様構造を多視点から分析することで、その実態を解明し、新たな先史美術史像の構築を試みる。 従来、土器制作技術の未熟性や偶発的なミスとされてきた「文様破調」とは、土器面を帯状に周回する連続文様の反復リズムを意図的に一か所で崩すものを指す。この文様破調が縄文~古墳時代の土器制作における普遍的な美的構成要素であることを解明できれば、先史時代の美に関するこれまでの定説は抜本的な見直しが求められる。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染拡大による活動制限等により、当初計画の3D計測調査から発掘調査報告書の渉猟等に切り替えた初年度の成果を各地の口頭発表や論文等にて紹介した。民族藝術学会口頭発表「縄文・弥生・古墳時代における土器の『文様破調』について」では、従来、作り手のミスや誤魔化しとして解釈され議論の対象とされてこなかった縄文・弥生・古墳時代の土器や金属器における文様破調の新事例を紹介し、その意義を多様な分野の研究者が集まる学会で問う試みを行った。また、福井洞窟ミュージアムどうくつ体験リレー講座「縄文と芸術」では九州の縄文土器における文様破調の事例を、小田原田原市遺跡講演会「弥生・縄文時代の人々の心に近づく方法」では弥生時代中期の事例を紹介し、従来の観点による解釈に対する問題提起をした。 また、朝日カルチャーセンター名古屋教室での講座「岡本太郎と縄文人の『芸術』」では芸術家・岡本太郎の縄文時代に対する基本的な考え方を紹介し、『現代思想』への寄稿「遠野と「縄文」/『遠野物語』」や『モノ・構造・社会の考古学:今福利恵博士追悼論文集』への寄稿「相互浸潤する土器≒土偶のハイブリッド」、ハワイ大学における国際会議での共同発表「Mutual permeation model of things, people, and the supernatural: Insights from Jomon pottery and dogu figurines」では、文様破調の実態解明から派生する議論として、縄文時代に対する岡本太郎の観点を批判的に継承した研究代表者の「物・人・超自然の相互浸潤モデル」から、従来は考えられてこなかった近代の東北における狩猟と縄文時代の関係性や、縄文土器と土偶の相互浸潤の問題について新たな仮説を提唱した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度は当初計画調査が実施できず、2年目は、初年度に実施できなかった3D写真計測調査の機会をうかがいつつ、初年度に集積した発掘調査報告書ベースの2Dデータの新事例を基に学会発表や論文投稿し、招聘講演等で、順次可能な成果の公開に努めていくこととした。2年目も新型コロナウイルス感染拡大の煽りをうけるとともに研究代表者の重症化リスクの問題もあり、初年度計画調査の実施を見合わせる他なく限定的な調査にとどまったが、当初計画から収集データの対象を切り替えた2年目の上記計画は概ね達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大による活動制限等により当初の計画が大幅に遅れているものの、最終年度に所属機関雇用が切れるため、最終年度以降の本研究の期間延長は現状では望めない。そのため、新型コロナウイルスによる活動制限が緩和された最終年度では、可能な限りの調査を実施し、研究成果の公表に勤めたい。
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