研究課題/領域番号 |
21K00157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
鍋島 稲子 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, その他部局等, 客員研究員 (60869139)
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研究分担者 |
富田 淳 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 未登録, 館長 (20227622)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 表装文化 / 中国書画 / 日本書画 / 掛け軸 / 巻物 / 付属品 / 裂 / 箱 / 冊子本 / 紐、爪 / 中国表装 / 日本表装 / 書画 / 修復 |
研究開始時の研究の概要 |
書画の表装は東アジアに広く普及し、国や地域、時代によって特色のある表装文化を形成してきた。しかし紙を母体とする書画本体と、支持体である裂を用いた表装は、収縮率の差異から皺が生じ、100年前後で改装せざるをえない。一方、蚕が改良された結果、現在では細やかな織りや模様も再現できない。色目・文様やその組み合わせなど、書画の様式には深い意味が込められているが、近年の修理においては、いにしえの伝統が急速に失われつつある。 本研究は、現存する歴代の旧表装を調査し、中国及び日本の表装について、時代や地域ごとのデータや様式を網羅的に収集・整理し、表装文化の歴史的・地域的な変遷を明らかにしようとするものである。
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研究実績の概要 |
令和5年度の当初計画では、①国内遺例の継続調査、②国外での遺例調査(5世紀から10世紀の敦煌写本)であったが、中国での調査については、コロナ等の影響がまだ残り、先方の受け入れ態勢が整わず、また欧米での調査については、円安による旅費の高騰で、当初予算では金額が足りず、予定していた海外調査が実施できなかった。したがって、①の国内調査を継続して行った。 国内調査は、下記の博物館・美術館等において、中国書画及び日本書画の作品調査を実施した。計測や撮影に関しては、先方の状況を伺った上で可能な作品についてデータを収集しまとめた。また、展覧会で展示中の作品については、作品の状況を確認し、図録等でデータを補った。 京都国立博物館、佐賀県立本丸歴史館、佐賀県立博物館、佐賀県立美術館、小城市立中林梧竹記念館、佐賀県立名護屋城博物館、兵庫県立美術館、鉄斎美術館、ふくやま書道美術館、京都国立近代美術館、九州国立博物館、三井記念美術館、永青文庫、台東区立朝倉彫塑館、大山コレクション(個人蔵)、窪田コレクション(個人蔵)、青山コレクション(個人蔵)、髙木コレクション(個人蔵)、佐瀬コレクション(個人蔵)、西川コレクション(個人蔵)橋本コレクション(個人蔵)、山田コレクション(個人蔵)など。 上記の調査において得られたデータな成果の一部を、東京国立博物館、兵庫県立美術館、台東区立朝倉彫塑館、台東区立書道博物館の4館による連携企画「生誕180年記念 呉昌碩の世界」に反映させ、展示や図録、講演会等を通して一般に公開した。図録には、本紙のみならず表装も含めて掲載し、表装の現状を記録として残した。掛け軸や巻子の裂、箱や箱書きなど、これまで公開されていない貴重な資料を図版として掲載した。また展示については作品の表装がわかるよう工夫し、書付や箱などの付属品も本体と一緒に並べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4、5年度は、海外調査を主として作品調査を行う予定であったが、コロナ等の影響や円安の影響で、海外渡航が困難を極め、当初計画から遅れをとっている。したがって、国内調査を主軸とし、博物館・美術館や個人コレクターにて調査を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
予算の関係もあるため、調査対象は国内に絞って行う。国内に現存する中国表装や日本表装について、データを網羅的に収集・整理し、表装の変遷に関する体系的な調査研究を行う。 また、展覧会や講演会、図録などの出版物を通して発表し、一般社会に還元することで、表装文化の学術的な意味とその必要性を伝え広めていく。
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