研究課題/領域番号 |
21K00182
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 大阪芸術大学 |
研究代表者 |
河田 昌之 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (20712061)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 土佐派 / 住吉派 / 絵所預 / 御用絵師 / 御絵師 / やまと絵 / 婚礼調度 / 板谷派 / 絵所絵師 / 土佐派 住吉派 絵所預 御用絵師 やまと絵 |
研究開始時の研究の概要 |
江戸時代の絵画史を通観すると公武の絵画御用に関する流派としての二大潮流は、狩野派と土佐派、土佐派から分派した住吉派と板谷派に集約される。御用絵師としての狩野派の活動は、全体的な理解と美術史的な評価が明らかにされている。一方、朝廷の御用を担う絵所預の土佐派と幕府御用絵師の住吉派、板谷派に関しては、近世土佐派の研究に至る道筋となる室町時代の絵所預である土佐光信までの研究や、続く近世土佐派や住吉派も研究が及んでいるが、土佐光起復職以降の絵所預の研究は未だ断片的である。江戸時代中期以降の土佐派の活動を絵所預、御用絵師の役割を中心にして捉え、やまと絵の伝統を保持し伝えたその様相の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、江戸時代絵画史のなかで土佐派、住吉派、板谷派の絵師が宮中の絵所預や幕府の御用絵師としての職掌について、個々の作品を通して検証しながら住吉派や板谷派を含む土佐派絵師の職掌の実情理解と、美術史における土佐派の意義を明らかにすることにある。 研究方法として計画したのは、江戸時代中期以降の土佐派絵師による公儀の絵画御用の把握のために、絵所預と御用絵師に大別し、(1)寺社における縁起絵巻の制作と活動の背景(2)模本制作とその活用(3)行事や有職故実の絵画制作における古画の応用の三点から考察することである。 この研究目的と方法により、調査研究を進める予定を立てていたが、新型コロナ禍での調査については初年度と比べて少しづつ状況が回復したものの、公立の施設は条件付きで調査は可能であったが、個人所蔵の作品調査には限界があった。 そのなかで、先学研究の成果となる展覧会図録を初め、論考等にあたって資料の分類整理を行うとともに、新型コロナ禍の鎮静後を予測して調査準備を進めた。この過程で、大名家に関連する婚礼道具と目される住吉派の「酒呑童子絵巻」(ライプツィヒ民族博物館蔵、根津美術館蔵)並びに福岡藩の御用絵師尾形家の模写に再度注目した。また公家の久我家に伝来する「嫁入り本源氏物語」(國學院大学図書館蔵)、さらに大名家の紀州徳川家伝来の伝住吉如慶筆「源氏物語手鑑」(個人蔵)の調査を行った。このうち紀州家伝来本については、作品の特徴と住吉派の関わりについて考察し、2度の研究発表を行った。 研究対象になった大名家、公家に関わる婚礼調度の絵画作品は、各家の家系存続を担う重要事項の一つとして土佐派の職掌を考える契機が見出せた。そこには内裏復興における土佐派絵師に課せられた役目や意義との共通性にも注目する必要があり、この研究に関する新しい方途になると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染の進行が徐々に収まってきたものの、いまだ作品調査が制限されるなどの影響は要因の一つである。一作品の調査を複数日に分けて行ったことを調査が当初の計画通りに進まなかった一例として挙げることができる。この間は、昨年度と同じく、先行調査のデータ整理や文献収集等を継続し、調査再開の準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に挙げた(1)寺社における縁起絵巻の制作と活動の背景(2)模本制作とその活用(3)行事や有職故実の絵画制作における古画の応用の三点に的を絞りながら、婚礼調度などの儀礼用作品にも視野を広げて、京都における絵所預と江戸幕府や地方の藩における御用絵師それぞれの活動を考える。また本研究の初年度に新型コロナ感染予防の観点から調査を自主的延期せざるを得なかった海外に所蔵される土佐派作品についての調査をも予定しており、併せて研究目的の達成に努める予定である。
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