研究課題/領域番号 |
21K00185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
丸山 士郎 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (20249915)
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研究分担者 |
宮田 将寛 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 専門職 (90737503)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 乾漆技法 / 脱活乾漆造り / 木心乾漆造り / 仏像 / X線断層写真 / CT / X線断層写真 / CT |
研究開始時の研究の概要 |
日本の仏像の技法中に脱活乾漆造り、木心乾漆造り、木彫に乾漆併用技法という素材に漆を用いる技法がある。この技法は奈良時代に用いられたもので、作品の多くは日本彫刻史上の名品という評価を得ている。これらは現存作品が少ないうえ、破損箇所からしか内部を見ることができず、従来のX線写真では、内部の木組みや心木、乾漆部分の状態の詳細を知るのは困難であった。本研究では文化財用のX線断層写真(CT)を用いて各技法を分析し、乾漆造りの木組みや麻布の大きさや貼り付け方法、心木の彫刻の状態、木屎漆の塑形方法や組成などを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は7世紀末から9世紀に用いられた脱活乾漆造り、木心乾漆造り、木彫に乾漆併用技法といった、漆を利用した仏像の製作技法に関する研究である。研究手法としてはX線断層写真(CT)を用いた技法の解明を中心に、目視による観察や文献調査なども行う。 2023年度は、大阪・葛井寺の千手観音菩薩立像のCTデータ分析を継続して行った。同像は像高131.3と大型の作品で、部位によって麻布や木屎漆の使用量が異なり時間を要しているが、本体については分析をほぼ終えた。本像は千本の腕を実際に表す作品で、千本の脇手は4つに分けてつくられているが、大きく広がる形状のため各全体をCTで撮影できておらず分析に時間を要している。 法隆寺に伝来し東京国立博物館が所蔵する法隆寺宝物中に、寺の法要で執り行われた伎楽に用いる伎楽面が31面含まれるが、そのうち3面が乾漆技法でつくられる。東京国立博物館で伎楽面に関する報告書を刊行(オンライン版のみ)し、3面について分析を行った。麻布と漆を用いる点は、仏像の製作技法である脱活乾漆造りと共通するが、着用して伎楽を舞うため軽量化されている。また、仏像の技法との共通性がありながら作品が小型であるため全体について詳細な分析が可能であったことから多くの知見を得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
葛井寺の千手観音菩薩坐像の分析については予定よりもやや遅れ、脇手の分析を残しているが、本体については終えている。東京国立博物館所蔵の伎楽面については報告書の刊行が急遽決まったため、葛井寺の千手観音菩薩坐像よりも優先して分析をおこなった。 乾漆技法によるものではないが、京都・浄瑠璃寺に伝来した十二神将像等の仏像のCTデータを用いた分析も行った。
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今後の研究の推進方策 |
引続き乾漆技法の作品のCTデータの分析を行う。2014年度に東京国立博物館で開催する特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」に出品予定の、木彫に乾漆を併用する技法でつくられる神護寺所蔵の五大虚空蔵菩薩像のCT撮影を行いたいと考えている。同像における乾漆の使用は限定的といわれているが、具体的な使用状況についての報告はないためCT撮影によって新たな知見を得られると考える。
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