研究課題/領域番号 |
21K00188
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高橋 信良 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (50301099)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | ベルギー / 教育制度 / 文化政策 / 舞台芸術 |
研究開始時の研究の概要 |
多言語国家であるベルギーにおいて、地域や言語を超えた舞台活動は世界から注目されている。しかし、舞台や文献による作家・作品研究だけでは、ベルギー舞台芸術が開花したその土壌(教育と文化政策)がみえてこない。そこで本研究では、ベルギー舞台芸術で重要な役割を果たしている教育に焦点を絞り、その内容や文化政策との連携方法を考察する。そうすることで、文化的多様性・共存のモデルとしてのベルギー舞台芸術の現状を詳らかにする。ベルギー舞台芸術における教育と文化政策の連携方法が日本の舞台芸術を発展させてゆくモデル・ケースのひとつとなれば、本研究はより意義深いものとなる。
|
研究実績の概要 |
本研究は、多民族主義を実践しているベルギー舞台芸術が日本の舞台芸術の今後のモデル・ケースのひとつとなると考え、ベルギー舞台芸術における教育と文 化政策の連携方法に焦点を絞り、その具体的内容を調査、考察するものである。 調査は、まずベルギー舞台芸術の教育拡充の過去と現在を外観し、拡充された教育機関の現状を明らかにする。そのうえで、文化政策と教育の連携方法を考察 する。それによって、舞台芸術の発展に寄与してきた教育の役割を再考するとともに、ワロン地域とフランデレン地域だけではなく、国家としてのベルギーの特 徴ともいえる「総合性」(ジャンルの融合)、および「越境性」(国と地域の越境)を舞台芸術がいかに実現しているのかを詳らかにする。そして、公的教育機関に おける舞台芸術教育と劇団との連携体制を調査し、データ・ベース化することによって、ベルギー舞台芸術の全体的動向を把握し、世界の舞台芸術におけるその 位置と将来の展望、日本における舞台芸術教育の具体的な参考例とすることを目的としたものである。 教育については、俳優養成、制作者養成(演出家、ドラマトゥルク、舞台装置家、照明担当、音響担当)の区別のもとに、各機関の具体的教育方法を調査す る。文化政策については、地域ごとの自治体およびベルギー政府の芸術活動への協力状況を調査する。そのうえで、多言語社会における集団創作活動の意義を詳 らかにし、国際社会における芸術の意義を再考する。 以上の計画のもと、令和3年度ならびに令和4年度とも、複数の劇団に聴取することができ、コロナ禍での教育方法やフェスティヴァルの実施方法など、貴重な情報が得られた。現在それらの情報をもとにデータ・ベース化を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、最新資料収集およびインタビュー実施のためにベルギーに渡航する予定であったが、渡航予定の8月に感染者数の増加があり、実現することが出来なかった。そこで、令和3年度に調査できなった公的機関と私的機関の連携方法、ワロン地域とフランデレン地域の交流状況に関する情報について、遠隔会議のかたちでインタビューを実施し、概ね不明点は解消された。ただし、教育現場に関する映像資料は不足したままである。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、まず実地調査として、公的機関と私的機関の連携方法、フランデレンとワロン両地域における教育実践方法と交流状況に関する具体例を情報収集する。次に、文献、遠隔会議、実地調査で得られた資料に基づき、劇団運営方法、教育機関の実態(各種技能養成の実際)、文化政策の具体的役割、舞台芸 術関係者の労働条件や福利厚生の現状を精査する。とりわけ、コロナ禍での劇団運営や教育方法の変化に基づき、社会における舞台芸術のあり方について再考す る。なお、研究成果は、ベルギー関連学会での発表、および報告書にまとめ、収集したデータは作成したホームページ上で公開し、最新情報の更新可能なシス テム構築をめざす。
|