研究課題/領域番号 |
21K00189
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
桑原 寿行 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60734598)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 4Dスキャン / volumetric capture / 実写表現 / リアルタイムエンジン / メディア表現 / 芸術表現 / 4D / Volumetric Capture / フォトグラメトリ / ヴィデオグラメトリ |
研究開始時の研究の概要 |
従来の映像メディアにおいて、CG技術によるデジタル・イメージは容易に操作や改変が可能なため、その表現技法体系は虚構性を拡張する創造性の追求がなされてきた。この表現技法体系とは異なる「現実の時空間をそのまま写し撮る」真正性に基づいたデジタル表現が可能になれば「新たな実写表現」としての高い応用性があるが、その表現技法的基盤は確立されていない。本研究は、4Dスキャンメディアの時空間的「真正性」に基づく芸術表現応用を「新たな実写表現」として捉え、「真正性」を保持した表現技法基盤の確立と、表現可能性・有用性を提案することを目的とし、今日的なデジタル・イメージの虚構性と真正性の新しい有り様を指摘する。
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研究実績の概要 |
今年度は4Dスキャンメディアを用いた「新たな実写表現」のための試作実験を中心に研究を進めた。従来の映像メディアが持ち得なかった特性を加味した、1.視聴体験インタフェースの開発と、「新たな実写表現」としての体験性を考慮した2.インスタレーション表現作品への試作展開から、実践的検証を行った。
1.視聴体験インタフェースの開発では、4Dスキャンメディアがもつ時空間的「真正性」に基づく自由視点、という性質を活かした、インタラクティブな体験性をもつインターフェースとして1-a「アームロボット型」、1-b「XR型」の2つを軸に開発を進めた。1-a「アームロボット型」は、自由視点の物理入力インターフェースとして、仮想空間における視点の位置を物理的に視覚化する機能と、コンテンツ内容に応じた半自律的な挙動を有するアームロボット機能を併せもつデバイスとして開発を進めた。1-b「XR型」では、現実空間を拡張する形での身体的な体験性を重視し、鑑賞者の位置やふるまいをトラッキングすることで、4Dスキャンメディアを仮想的な空間と実空間との相互作用で体験可能な、リアルタイム描画システムを実現した。
2.インスタレーション表現作品への試作展開では、1-a「アームロボット型」、1-b「XR型」のインターフェースを用いながら「新たな実写表現」としての試作実験と検証を進め、その研究成果展示として「まどをもってうごく」(東京藝術大学 Arts & Science LAB. 1F, 期間:3/17~3/22)を実施した。「まどをもってうごく」は主に1-b「XR型」のインターフェースを用いた、インタラクション型の展示であり、4Dスキャンメディアの高精細なリアルタイム描写と、身体的な体験性を拡張した自由視点を実現し、4Dスキャンメディアの時空間的な記録の「真正性」に基づく芸術表現応用として「新たな実写表現」の表現可能性を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に中心的な研究内容として計画していた1.視聴体験インタフェースの開発、2.インスタレーション表現作品への試作展開は概ね順調に推進できた。1.2.双方で致命的な問題が発生せず、最終的に年度末に成果展示として実施することができ、想定していた研究の大部分を進めることができた。前年度に今年度への計画へ変更した撮影システムの改良は、前年度に引き続き世界的な半導体不足による物品調達の遅れが影響し、今年度でも部分的な実施に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度から研究計画の遂行が限定的になっている撮影システムの改良は、世界的な半導体不足からくる必要物品の品薄などの情勢を鑑みながら改良案を再検討し、次年度の前期に再構成する方向で実施する。 今年度の試作実験や研究成果展示から得た知見をもとに「新たな実写表現」の効果的な演出技法を抽出していき、テーマやストーリーを持った芸術性の高い卓越的な芸術表現の作品化を目指し、「新たな実写表現」がもつ表現可能性と有用性を明らかにしていく。 また、本研究による「新たな実写表現」を一般に広く提案するために最終的な成果展示発表の実施を予定する。芸術表現応用を通して本研究による「新たな実写表現」がもたらす社会的・文化的な意義や、今日的なデジタル・イメージの虚構性と真正性の新しい有り様を考察し、研究内容の包括的な発信としてWEBポータルを構築することで、「新たな実写表現」表現可能性と意義を提案する。
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