研究課題/領域番号 |
21K00193
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 群馬県立女子大学 |
研究代表者 |
武藤 大祐 群馬県立女子大学, 文学部, 准教授 (30513006)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 民俗芸能 / 舞踊 / 芸術化 / コロナ禍 / COVID-19 / 近代化 / 日本舞踊 / アートプロジェクト / コンタクトゾーン / ダンス |
研究開始時の研究の概要 |
民俗芸能の現場に芸術家やダンサーが「参加」し、「習う」という形でのアートプロジェクトを研究する。具体的には、岩手県大船渡市などで進行中の「習いに行くぜ!東北へ!!」、滋賀県高島市の古屋六斎念仏継承プロジェクトなどに関する実地調査を行う。また比較対象として、ノルウェーでの民俗舞踊とコンテンポラリーダンスの接触についても実地に調査する。これらを通じて、伝統文化の「継承」の再定義、「習う」という行為の構造、芸術家の社会的役割、そして現代芸術と伝統文化の関係などといった論点を複合的に考察する。さらに近現代における伝統舞踊の再文脈化に関する歴史上の事例も広く調査し、将来的な可能性と課題を分析する。
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研究実績の概要 |
コロナ禍が沈静化するとともに行事も再開され、滋賀県の朽木古屋六斎念仏踊りについては参与観察とインタヴューを行うことができた。昨年までのオンライン稽古の成果が、現地での行事に反映されるという、コロナ禍以前には想定されなかった興味深い展開が見られ、これについては学会発表を行った(「郷土芸能の拡散と収斂――ポストコロナの朽木古屋六斎念仏踊り」、舞踊学会第75回大会 2023年12月3日)。地元の継承者の数が数年前よりもさらに減少し、その一方でプロジェクトに関わるアーティストたちが独自の活動を通じて広げたネットワークが現地での行事に還元されたことで、結果的に行事の主体やムードが従来とは異なるものになった。コロナ禍を経て、プロジェクト自体も新たな段階に入ったことが如実に感じられた年であった。以上については論文としての公表も準備中である。 また奈良県立図書情報館からの招聘を受け、「十津川村の盆踊り 特別鑑賞会&講演会」というイベントにおいて講演「伝統芸能を習う現代アーティストたち」(2023年7月15日)を行った。本研究の概要を紹介するとともに、十津川村の盆踊りのあり方と比較考察を試みるセッションを行うことができた。情報交換という点でも有意義な機会となった。 計画していた国外での調査については、夏の時点では感染リスクの不安が払拭できなかったために見送ったが、ノルウェーの事例(Sigurd Johan Heide)についてオンラインで調査を進め、フィールド調査の計画を立てることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、国外での調査などが捗っていない(ただしノルウェーについては次年度に具体的な計画を立てており、事前の資料調査も進展している)。 また当初計画の一部としていた八戸の事例(鮫神楽と中西レモン)については、この数年で中西レモンの活動が急激に活発化し、活動の様態も変化して、当初の研究枠組を超える存在になってしまった。本研究としては、注視はしつつも、若干の軌道修正として、あくまでも朽木古屋六斎念仏踊りのプロジェクトを中心に据えることとしたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として、朽木古屋六斎念仏踊りのフィールド調査、ノルウェーのフィールド調査を進めると同時に、口頭発表および論文の公表を着実に進める。とりわけ北欧における民俗芸能の歴史的経緯についての知見を深めることで、日本の事例に対する新たな視野が開けつつあるものと、手応えを感じている。
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