研究課題/領域番号 |
21K00196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 開智国際大学 |
研究代表者 |
北浦 寛之 開智国際大学, 国際教養学部, 准教授 (20707707)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 配給 / 製作 / テレビ / 撮影所 / 東映 / 映画産業 / 1950年代 / 2本立て / 映画製作 / 興行 / 日本映画 / シナリオ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本映画の黄金期たる1950年代から、映画産業を以後20年にわたり牽引した東映に焦点を絞り、①東映京都撮影所(以下、京撮)での「映画量産システム」の解明、ならびに製作の物理的諸条件を踏まえ、②映画テクストを分析し東映作品への真の評価を定めることを目的とする。最盛期には計算上、国民一人が月に一度は映画館に足を運ぶほどの盛況を示した日本映画は、紛れもなく大衆文化の中心にあり、当時の映画界の旗手たる東映の成功を内部の製作事情から解明することは、日本映画が黄金期を形成したメカニズムの核心に迫るものである。このことは、日本映画史/大衆文化史の大いなる前進を意味する。
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研究実績の概要 |
1950年代の映画黄金期に台頭した東映は、他社に先駆けて毎週のように新作映画2本を映画館に配給する量産体制を確立することで、業界をリードするようになった。本研究では、映画黄金期=量産期を牽引した東映による量産体制の確立に至るまでの経緯や背景をこれまで主に注目してきたが、23年度においては、前年度に報告した「今後の研究の推進方策」に基づき、2本立て実施以後の展開にも視野を広げて調査をおこなっていった。 2本立て製作・配給で優位を築いた東映は、さらに優位を拡大すべくテレビ事業にも積極的に乗り出していった。他の映画会社もテレビ事業に着手していくが、東映の場合は、より積極的な事業展開を見せていく。たとえば東映はテレビ放送用に制作したいわゆるテレビ映画を再編集し、映画館で上映してみせた。テレビ向けの映像コンテンツが東映作品量産期の配給に貢献していた。 こうして、東映を含む映画会社のテレビ事業は映画の製作や配給にも影響を与えるものであり、それゆえ、映画会社のテレビ産業へのかかわりについても調査を進めていった。たとえば、東映をはじめ複数の会社が開発、導入に乗り出した劇場用テレビともいえる「アイドフォール」について論考をまとめた。それはフィルムではなく、電波を使って上映される装置で、1950年代後半から60年代前半にかけて、東映など映画会社は実用化に向けて、研究をおこなっていた。アイドフォールは、結局実用化しなかったが、映画の製作、配給、興行への大きな変化が予想されたこの装置の導入に映画会社が積極的であったことがわかった。その先鋒を担った東映は前述のようにすでに映画製作で大きな変革をもたらしていたが、さらなる製作の変化に関心を向けていた会社であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に提出した「今後の研究の推進方策」の内容を踏まえて、東映など映画会社の2本立て配給体制確立以後の展開について幅広い調査を実施した。そのなかで、とりわけテレビとの関係で、映画の製作や配給を考察し、その成果を部分的にでも単著と共著において発表できた点が順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
1950年代から60年代にかけての映画産業を取り巻く状況が、これまでの研究により深く理解できてきた。それを踏まえて、東映の映画製作からその後の配給、興行への展開について、さらに詳細な内情を調査し、明らかにしていきたい。
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