研究課題/領域番号 |
21K00201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
高岡 智子 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (80552835)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ドイツの大衆音楽 / ロックミュージック / ディスコ / 音楽教育 / 文化政策 / 東ドイツ / 大衆音楽 / 芸術観 / ドイツ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東ドイツ時代の大衆音楽を、社会主義体制下の特殊な音楽文化として捉えるのではなく、むしろ19世紀のドイツ音楽文化の「伝統」を摂取し、再統一後のドイツの音楽文化へと展開するアクチュアリティのある音楽として解釈し直す。そのうえで、「音楽教育」と「芸術観」という観点から東ドイツ大衆音楽について再考し、19世紀から再統一後の現代に至る近代ドイツ大衆音楽の地脈を明らかにすることが、本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ミュージシャンやディスコのDJのための「音楽教育」を基盤として、制度的にも実践的にも東ドイツの大衆音楽がつくられてきたことを考察することにある。それによって、19世紀以降のドイツ音楽の「伝統」が東ドイツの大衆音楽へと摂取されたプロセスについて検討していく。 本年度は、前年度に収集した大衆音楽のための音楽教育制度に関する一次資料と、インタビュー調査の分析をおこなった。一次資料については、県や郡、ベルリン市であれば地区によってミュージシャンやDJがプロになるための教育制度が想定以上に異なることがわかり、今後、研究をすすめるうえで国の政策と地域での実施とを明確にわけて議論していく必要があることに気づいた。また、ミュージシャンやDJ、ディスコの観客へのインタビュー調査を分析することで、国が定めた教育制度の意図と彼らの認識とのあいだにおおきなズレがあることがわかった。 今後、研究対象をどの地域にするか、また制度と当事者との認識のズレについてどのような調査をすすめるか、方針を練り直すことが本年度の課題となった。そのため、予定していた国外渡航を中止し、前々年度におこなった大衆音楽の思想についての整理と、一次資料とインタビュー調査の分析とを再検討することを優先した。本年度は、国と地方とを区分して整理することで、イデオロギーとしての制度のあり方、実際の制度の運営のされ方について分析することができ、今後の研究に必要な観点を得ることができた。 研究内容の再検討により、東ドイツ時代のロストックの人々の生活と社会の移行について社会学的に考察したStefan Mauによる『Luetten Klein』(2019)などの視点を取り入れ、音楽教育制度がどのような地域の生活や社会と関わっていたのかという観点を取り入れることが本研究にとっても意義のあることだと考えるに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、一次資料の分析をすすめた結果、研究の方針を再検討する必要があると判断したため、申請時に予定していた国外での調査研究は実施できなかった。そのため、総合的にはやや遅れて進展している。けれども、一次資料とインタビュー調査について再度、整理、分析したことにより、今後の海外調査の準備をより厳密におこなえたこと、音楽教育制度と地域における生活や社会との関連という観点を得ることができたため、有益な研究期間であったと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、再検討した観点を踏まえ、一次資料とインタビュー調査の分析をさらにすすめるとともに、国外での調査研究をおこなう。また、現代のドイツにおける「東ドイツ」像や東ドイツを生きた人々の思いが、今後どのように変化していくのかも注目しつつ、東ドイツの大衆音楽が、ドイツ研究や音楽学研究においてどのような位置づけとなるのかを分析しながら、研究をすすめる。
次年度が最終年度となるため、総合的なかたちで研究成果をまとめ、一冊の著作として刊行することを目指し、準備をすすめていく。
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