研究課題/領域番号 |
21K00209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松田 愛 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (40722260)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ソフィ・カル / 美術史 / 現代美術 / コンセプチュアル・アート / 写真 |
研究開始時の研究の概要 |
フランスの現代美術作家ソフィ・カル(1953、パリ生まれ)は、写真とテクストを組み合わせた自伝的表現を中心に国内外で活躍する。本研究は、〈盲目の人々〉[1986] 以降に制作された、「見ることとはなにか」を探求する一連の作品を中心に、(1)写真とテクストの関係性、(2)現実と虚構〔物語〕の交差する展示空間、(3)作品への他者の参加という三つの観点から分析する。その際、カルの作品を特徴づける「儀式」(形式、ルール)と「癒し」の構造に着目し、他者の参加によって成立する現代アートの諸作品と比較しながら、生とアートをつなぐソフィ・カルの芸術実践の美術史的意義と社会的意義を探る。
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研究実績の概要 |
本研究は、現代美術作家ソフィ・カル(1953、パリ生まれ)の作品において、極私的なテーマと「見ることとはなにか」をめぐるカルの探求がどのように交差するのかを考察し、カルの芸術実践の美術史的、社会的意義を探ることを目指すものである。前年度までの2年間は新型コロナウイルスの感染拡大により、国外調査が困難であったこともあり、まずは初期作品《眠る人々》(1979)に焦点を定め、上記の問いについて研究を進めてきた。2023年度は本作品の書籍版を対象に分析を進め、これまでの研究成果を美術史学会全国大会で発表した。 その後、《眠る人々》を所蔵するフランスのニーム現代美術館で、作品の一部となるテクストファイルの調査を行った。あわせて、同館が所蔵する関連資料の調査を行い、未入手の資料を収集した。また、ニームやアルルの博物館、美術館を調査し、カルのルーツとも関わる同地域の芸術文化への理解を深めた。 さらに、ピカソ没後50年記念イベント「ピカソ・セレブレーション1973-2023」の一環としてパリ国立ピカソ美術館で開催されたソフィ・カルの個展“Sophie Calle: A toi de faire ma Mignonne(ソフィ・カル:君の番だよ、可愛い子)”を調査した。同展を通して、〈盲目の人々〉(1986)等の過去作品から最新のプロジェクトまでを調査する機会に恵まれた。本展では「見ること」へのカルの一貫した関心や、美術史への意識を確認することができた。また、プラド美術館の企画展「絵画の裏側」等、複数の展覧会を通してカルの作品を実見できた。これらの調査成果の一部は、《眠る人々》の研究とあわせて、国立新美術館の「連続講座:アートをめぐる場の設計」で、「『眠り』がアートになるとき―ソフィ・カルの実践から」と題して発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度に国外調査は可能になったものの、新型コロナウイルスの影響によって全体の調査計画に遅れが生じている。特に現地での調査は十分であるとは言えないため、2024年度は継続して現地調査や資料収集に努める。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、美術史学会全国大会で発表した内容を発展させ、論文として発表する。また、これまでの調査成果を整理し、研究報告として発表していく。さらに、2024年度に予定されているソフィ・カル展にあわせて作品調査と資料調査を行う。
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