研究課題/領域番号 |
21K00224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 熊本大学 (2022-2023) 呉工業高等専門学校 (2021) |
研究代表者 |
冨村 憲貴 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (40595980)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | イギリス演劇 / 音楽 / シェイクスピア / 中世演劇 / エリザベス朝演劇 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、中世からエリザベス朝までのイギリス演劇における音楽の使用法と機能を、客観的な数量データと文学的な読みの両面から量的・質的に分析し、時代的な変化と普遍性の有無を探る。音楽はギリシャ悲劇の時代から現代に至るまで、ドラマと強く結びついてきたが、その複雑な機能の分析には、作品の文学的解釈、音楽学的背景など多くの要素が関わるため、方法論の確立が大きな課題である。本研究では、演劇史上重要な位置を占めるシェイクスピア作品を含む幅広い時代の劇作品の音楽使用を、新しい一貫した枠組みで分類・分析し、音楽と演劇の関係を歴史的に考察する基盤を作るとともに、現代の上演にも有用な資料を提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では,イギリスの中世からエリザベス朝までの演劇作品において,音楽がどのように使用され,戯曲中でいかなる役割を果たしてきたかを分析するための,新たな枠組みを作ることを目指す。広範囲の時代にまたがる演劇作品の音楽使用の例を,一貫した基準で分類することで,演劇における音楽使用を通時的視点から考察し,その特徴を明確にすることを企図している。 2023年度は,中世演劇作品における音楽使用例の収集を継続しつつ,研究成果の発表を行った。演劇作品からの例の収集においては,John Skeltonの作品などの中世の宗教劇を取り上げ,現在までに構築した分類枠との整合性を検証した。観察された例は,概ね現在構築している枠組みに含まれるものと解釈できる。また,宗教劇における音楽使用に一定の傾向が観察され,シェイクスピアの戯曲における音楽使用との差異の一端が例証された。その一方,宗教劇作品の間での微細な違いも観察されたため,今後の検討材料となった。 研究成果の発表としては,第61回シェイクスピア学会において,シェイクスピア戯曲の音楽使用の特徴を,本研究課題で構築を進めている枠組みによって示し,シェイクスピアの映画化作品における音楽の用いられ方と比較することで,両者の差異と今後の可能性について論じた。また,日本英文学会中国四国支部第75回大会のシンポジアムでは,中世演劇とシェイクスピア作品とを比較し,各戯曲群における音楽使用の違いを指摘した。この発表内容に加筆修正を加えた論文が,広島大学『英語英文學研究』に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度の実施状況報告書に記載した,所属機関異動に伴う諸要因による作品分析の遅れについては,一定程度取り戻すことができた。しかし,計画段階で2023年度中に行う予定だった作品群の分析を完了するには至らなかったため,進捗状況は遅れていると判断した。しかし,2023年度には,コロナ禍により延期されていた学会シンポジウムが開催され,研究成果を報告したこと加え,他の学会での発表と論文投稿を行っており,研究自体は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
中世宗教劇とインタールード作品からの音楽使用例の収集を進め,サンプル数を増加させる。これまでの研究で観察された,宗教劇における音楽使用の傾向が他作品にも当てはまるかどうかを検証するとともに,創作推定年代による特徴の有無についても検討を進める。年度内に,口頭発表または論文による研究成果の発表を考えている。
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