研究課題/領域番号 |
21K00236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 国立音楽大学 |
研究代表者 |
加藤 一郎 国立音楽大学, 音楽学部, 特別研究員 (60224490)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Fryderyk Chopin / Dubois / イェンジェイエヴィチョーヴァ / Jane Stirling / musical scores / annotations / variants / ショパン / 音楽様式 / 教授法 / 楽譜 / 書き込み / デュボワ / 演奏美学 |
研究開始時の研究の概要 |
他者による先行研究および応募者による予備的研究から、ショパンは楽譜の校正作業を嫌っていたために、彼の最終的な意図の多くは印刷楽譜ではなく、弟子の楽譜への書き込みに示されていることが分かった。また、複数の弟子の楽譜の間で書き込みの内容が異なることも分かった。そこで、本研究は海外の図書館に収蔵されているショパンの主要な弟子の楽譜を調査し、弟子の技量や特性等も考慮しつつ、書き込みの内容を分析することによって、彼の演奏美学およびピアノ教授法を解き明かそうとするものである。
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研究実績の概要 |
主に3件の研究成果を発表した。 1. 加藤一郎「ルドヴィカ・イェンジェイエヴィチョーヴァの楽譜への書き込みを巡って―ジェーン・スターリングの果たした役割―」国立音楽大学研究紀要、第58集、25-36. 2. 加藤一郎、伊藤文子「カミーユ・デュボワ=オメアラの楽譜への書き込みから見たショパンの音楽様式―変奏及び装飾法に関する書き込みを通して―」日本ピアノ教育連盟紀要、第39号、15-36. 3. Kato Ichiro‘Chopin's Tempo Rubato', Piano Society of Korea, 19. July 2023.(講演) 1.は最終的にショパンの姉ルドヴィカ・イェンジェイエヴィチョーヴァが所持するところとなった楽譜に見られる書き込みについて考察したものである。その書き込みは複数の筆跡からなるが、不詳な者による筆跡の一つは、1843年からショパンの弟子となったジェーン・スターリングの筆跡と酷似しており、書き込みの内容はショパンの音楽様式に精通している者しか行えないものであること等から、スターリングの書き込みである可能性が極めて高いことを推論した。2.はカミーユ・デュボワ=オメアラの楽譜への書き込みの内、変奏及び装飾法に関するものについて考察したものである。この内、重要なものとして、ショパンは同じ曲の同じ旋律に対して、弟子によって異なる変奏を書き込んでおり、これは音楽に対するショパンの即興的な姿勢を示すものと言える。また、ショパンは縦型の弧線を上方隣接音からなる前打音を上声部に伴う和音の前に記すことがあり、これは和音をアルペジオで奏し、最後に前打音と和音の上声部を奏する方法となる。3.は本科研によるこれまでの研究成果を用い、ショパンのテンポ・ルバートについて講じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響があり、当初の計画から遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
各種研究資料を入手し、ショパンの複数の弟子の楽譜への書き込みを元に、重層的な研究を行う。
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