研究課題/領域番号 |
21K00243
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
東島 仁 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (80579326)
|
研究分担者 |
和田濱 裕之 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (00765513)
丸 祐一 鳥取大学, 地域学部, 教授 (10466708)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 患者市民参画 / 科学コミュニケーション / ELSI / 研究への患者市民参画 / PPI / サイエンスカフェ |
研究開始時の研究の概要 |
研究への患者・市民参画(PPI)は、研究者と患者・市民のコミュニケーションを通じて科学と社会、疾患当事者にとって妥当性の高い研究を産出する仕組みとして欧米を中心に浸透し、日本の生命科学研究でも導入が進む。本研究は①国際動向の実証的な研究と②国内の生命医科学研究における実践手法の開発、③オンライン型PPIの倫理的、社会的、法的側面の規範的検討を通じ、国内の生命医科学において持続可能なオンライン型PPI像を示すことを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究は、日本の生命医科学領域における「研究への患者・市民参画(PPI)」に着目し、COVID19の影響によって世界的に注目を集めたオンライン型PPIの可能性と課題を、文献・資料を中心とする海外動向の研究と、特に国内の実践における倫理的、社会的、法的側面の規範的検討を通して探るものである。本年度は、昨年に引き続き、1)PPIを巡る国際動向のウェブ上の情報の調査(英語圏)、2)生命医科学領域の研究を扱う試行企画の実践を通じたオンライン型PPIの手法の可能性と課題の検討、3)オンライ形式とオフライン形式の比較を踏まえたオンライン形式PPIのELSIに関する論点整理と規範的分析を実施した。1)については、生命医科学領域の研究開発におけるPPI全体の位置づけについて、特に動きの激しい英国と欧州、いくつかの特徴的な疾患を軸に検討した。COVID19の影響を受け、PPIや類する活動の位置づけや意義に関し、いくつかの注目すべき変化が、特に英語圏の公的機関等が発信する情報において見られた。これらの点は、調査結果を2)と3)に反映しつつ、次年度も引き続き調査を続ける。2)については、再生医療やゲノム医療をテーマとした企画開催(主催、実施協力等)を通じて、オフライン型企画と比較した場合のオンライン手法の利点や課題点を吟味した。なお1)の結果を受けて、注目するテーマの1つを自閉スペクトラム症から認知症に変更した。これらと並行して、3)PPI自体並びにオンライン型のPPI企画を巡る倫理的・法的・社会的課題について、国内外の動向を踏まえ、特に国内でのPPIの位置づけを踏まえて規範的分析を行った。いずれも次年度も継続して実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、1)COVID19の影響を踏まえたPPIの位置づけに関する国際動向の調査を進めている。ただしPPIについて豊富な実績と、日本国内と比べて大幅に制度化された仕組みを持つ英国では、オンライン形態への大幅な移行とは異なった形でPPIの位置づけの変化が進んでいるため、その他の国々における動向変化にも目を配りつつ、オンラインに限定せず、PPIの仕組みの変化として捉えて調査を実施し、次年度も継続する。この変化に伴い、研究全体の方向性についても、今年度以降についてはオンラインに限定せずにPPIの倫理的・社会的・法的課題の検討という要素も取り入れる方針とした。2)については、1)での調査結果並びに国内動向を踏まえて、対象とする疾患を、当初予定していた再生医療・医学と自閉スペクトラム症から、同じく神経系の要因が大きく影響する認知症と再生医療・医学に変更し、再生医療・医学についてはPPIの目的に合わせていくつかの実践(主催、共催、助言)を重ねている。認知症については実践理念と手法整理を行っている。3)については実施研究者間並びに学会発表・論文等で検討を続けている。
|
今後の研究の推進方策 |
計画通り、前年度の内容を継続する。具体的には、1)COVID19の影響等を受けたPPIの国際動向の変化、特にコミュニティエンゲージメント手法との関係やPPIの制度化について、英国、欧州、米国を中心とした動向調査を、これまでに出てきた論点に沿って行う。2)実践と手法開発については、再生医療・医学については、これまでの実践を踏まえて、オンライン手法の可能性を生かし、課題点を減らせるような手法のあり方を吟味する。認知症については実践手法開発は行わず、1)の論点を踏まえ、日本国内のこれからのPPIにとって必要そうな理念や手法を軸にした検討を行う。3)については、1)と2)の結果を適宜考慮しながら、引き続き検討を行う。1)~3)の結果を併せて、国内におけるこれからのPPIの理念上、実践上の意義と課題について、倫理的・社会的・法的課題を見据えた形で検討し、結果を学会等で議論したうえで現実的な提案の道筋をつける。
|