研究課題/領域番号 |
21K00265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下岡 友加 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (30548813)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 尾島菊子 / 加納幽閑子 / 国木田治子 / 愛国婦人会台湾支部 / ジェンダー / 山地討伐 / 加納豊 / 編集者 / 未亡人 / 戦争遺族 / 女性記者 / 書く女 / 台湾愛国婦人 / 加納ユカシ / 芦田均 / 雑誌メディア / 日本統治期台湾 / 女性作家 / 自己表象 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は〈帝国〉日本が統治初期台湾において刊行した官製婦人団体機関誌『台湾愛国婦人』(愛国婦人会台湾支部、1908年10月~1916年3月。全88巻)という新資料に基づき、女性作家たちの〈自己表象〉の具体相をつまびらかにするものである。同時代の男性作家たちや〈内地〉の言説との相対化も行い、多くの困難のなかで女性が如何に自己を表現しようとしていたのか、総督府の植民地支配との関係も踏まえて評価を行う。
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研究成果の概要 |
本研究成果は主に以下2点にまとめられる。 1、『台湾愛国婦人』の常連寄稿者であった尾島菊子、国木田治子、加納幽閑子たちのテクストを検討し、彼女たちが〈外地〉で自身の代表作とも位置づけられる〈自己表象〉テクストを発表していたことを〈内地〉媒体への発表内容と比較するなかで明らかにした。また、新資料の紹介により、旧来の彼女たちの著作年表を補った。 2、『台湾愛国婦人』は台湾総督府の政策履行、特に「山地討伐事業」を後援するための官製プロパガンダ誌であった。そうした媒体の性格に資するテクストを女性作家たちが寄稿することで互いの共存が図られるという、いわば協働関係が成立していたことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は〈帝国〉日本が統治初期台湾において刊行した官製プロパガンダ誌『台湾愛国婦人』という新資料に基づいて、女性作家たちの寄稿内容を〈内地〉媒体のそれと比較しながら具体的に明らかにした。各女性作家たちの著作活動の内実を詳らかにしただけでなく、従来一般には知られていなかった、明治末から昭和期にかけて活躍した女性記者の文業をも追跡して明らかにした。女性作家・記者と植民地政策との関わりを明らかにした点で、日本近代文学研究のみならず、女性史、ジェンダー研究、日本近代史、台湾史、植民地研究、雑誌メディア研究等に資する新たな知見をもたらしたと言える。
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