研究課題/領域番号 |
21K00272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
小秋元 段 法政大学, 文学部, 教授 (30281554)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 古活字版 / 角倉素庵 / 嵯峨本 / 方丈記 / 徒然草 / 日本書紀 / 古活字 / 平仮名 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、平仮名古活字版の印面に着目することにより、その誕生と展開の相を明らかにし、その印刷・出版史上の意義を論じるために、以下のとおり、2領域5テーマで研究を進める。第1の領域は「平仮名古活字版の誕生」であり、そこでは主に「キリシタン版から古活字版へ」「写本から古活字版へ」というテーマで研究を進める。第2の領域は「平仮名古活字版の展開」で、そこでは「古活字版『徒然草』『平家物語』の展開」というテーマで、具体的な作品に即した調査を行うとともに、「行数と書記状況の相関関係」「印面の特徴にもとづく平仮名古活字版の分類の可能性」というテーマで、平仮名古活字版を総合的な観点からとらえる研究も進める。
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研究成果の概要 |
本研究では、江戸時代初頭に盛行した平仮名古活字版の誕生と展開を中心に、その特徴について究明した。まず、平仮名古活字版における字母使用が、概ね当時の右筆的存在の字母使用と一致する傾向にあることを確認した。 また、十行本『方丈記』、嵯峨本『徒然草』、下村本『平家物語』に加え、嵯峨本『伊勢物語肖聞抄』『源氏小鏡』で同一の活字セットを用いていることを確認した。そのうえで、15種類ある「事」という字の活字の使用状況を調査することで、各書の刊行順序を明らかにした。また、嵯峨本第三種本『徒然草』において、慶長15年版『日本書紀』の活字が混入していることから、両者が角倉素庵の工房での刊行書であることを指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
前近代における平仮名書記は連綿体を用いることを主とした。平仮名古活字版は連綿体活字を多用することで自然な書記形態の再現に成功したが、今回の調査で字母の使用においても自然で、可読性の高い印刷をめざしていたことを明らかにできた。 また、嵯峨本は従来、本阿弥光悦の事業と見なされることが多かったが、近年ようやくそれが角倉素庵の事業であることが指摘されるようになった。本研究では嵯峨本と周辺書が一連の刊行物であることを明らかにしたほか、『徒然草』における慶長15年版『日本書紀』活字の混入の事実を指摘し、両者がともに素庵による刊行書であることを指摘した点でも意義があると考える。
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