研究課題/領域番号 |
21K00274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
新美 哲彦 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90390492)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 源氏物語 / 諸本 / 正宗敦夫 / 正宗白鳥 / 古注釈 / 言経卿記 / 豊臣秀吉 / 花屋玉栄 / 教育装置 |
研究開始時の研究の概要 |
『源氏物語』は、成立から現在にいたるまで、それを読書し学習した人間に何か(権威、教養、和歌・連歌作成のための知識、あるべき女性像など)を付与する装置であった。本研究では学習することで何かが付与される装置を教育装置と呼ぶ。 本研究は、教育装置としての『源氏物語』を眼目に置き、『源氏物語』の本文書写および古注釈と近世における『源氏物語』俗語訳を中心対象とし、中世から近世にかけて、『源氏物語』が教育装置としてどのような役割を果たしたかについての実態を具体的に考察するものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、教育装置としての『源氏物語』を眼目に置き、『源氏物語』の本文書写および古注釈と近世における『源氏物語』俗語訳を中心対象とし、中世から近世にかけて、『源氏物語』が教育装置としてどのような役割を果たしたかについての実態を具体的に考察するものである。 本年は、9月に第3回正宗文庫セミナー(岡山県立博物館 講堂)において「正宗白鳥の『源氏物語』評価と正宗敦夫の『源氏物語』蒐集」と題して講演を行った。正宗白鳥の『源氏物語』評価は低い。アーサー・ウェイリー訳の『源氏物語』を読んだ後にその評価は変わるものの、『源氏物語』それ自体はそこまで高く評価しなかった。一方、弟の正宗敦夫が古典籍を蒐集したことはよく知られるが、『源氏物語』関連書目も多数蒐集し、古典全集のような当時の人たちが手に取りやすい形で、その知見を還元していた。評論家として名高い正宗白鳥と、篤実な研究者としての正宗敦夫は、『源氏物語』に関しても対照的である。正宗白鳥がどのように『源氏物語』を評価し、正宗敦夫がどのような『源氏物語』関連書目を蒐集したかについての調査を紹介した。 また、『『源氏物語』を読むための25章』(武蔵野書院2023年10月)の一章として「本文とは何か」を執筆。文学作品の本文とはそもそもなんであるのかを考察し、『源氏物語』の諸本について紹介した上で、近年の研究動向について解説、さらに諸本における本文の差異によってどのように物語内容が変化していくかを考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近代に入って、知識人の中で『源氏物語』自体がどのように扱われてきたかという視点も加わり、「作者」としての紫式部自身がどのように扱われてきたのかという調査も進んでおり、女性および男性の教育装置としての『源氏物語』および古典享受など、課題に広がりが見えてきた状態である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2022年度パリ国際シンポジウムの発表をもとに、テクスチュアル・ハラスメントを受ける紫式部についての論を刊行、その他に公的事業としての文学作品とそれに関わる女性作者についての論を、『源氏物語』『栄花物語』『枕草子』を中心に執筆予定であり、さらに、2023年度の正宗文庫セミナーの講演をもとに正宗白鳥・敦夫兄弟の対照的な『源氏物語』の扱いについての論も執筆予定である。また、『源氏物語』の享受作品としての『松蔭日記』についても調査を開始する予定である。
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