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平安時代文学、特に和文と歌謡にみられる韻律的表現の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K00275
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02010:日本文学関連
研究機関早稲田大学

研究代表者

陣野 英則  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40339627)

研究分担者 山中 悠希  立正大学, 文学部, 教授 (40732756)
山崎 薫  盛岡大学, 文学部, 准教授 (90822958)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード和文 / 韻律的表現 / 枕草子 / 宮廷歌謡 / うつほ物語 / 源氏物語 / 同語・同音の反復 / 笑い / 平安時代 / 同語反復と同音反復 / 歌謡
研究開始時の研究の概要

『源氏物語』では、和歌、および引歌・引詩などの韻文的表現を除いてみても、なお韻律的といいうる表現がふくまれるようである。それは、特に同語反復および同音反復から察せられる。また、『枕草子』のように、物語とは異なるタイプのテクストにおいても、従来の諸注釈・諸論文では留意されていないような韻律的表現が織り込まれている可能性がある。
本研究は、『源氏物語』および『枕草子』などの和文(散文)にみられる韻律的表現に密着しつつ、そこにある種の法則(性)を見いだすことをめざす。あわせて、当時の韻律をより精密に検討するため、歌謡と音楽に関する先端的研究を深化させつつ、音楽と韻律的表現とのかかわりを探究する。

研究実績の概要

2023年度も前年度までと同様に、研究代表者、研究分担者(2名)、および早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程の学生(1名)の計4名による小さな研究会を計4回開催した(いずれもZoomミーティング利用による)。まず、第11回(6/11)では、山﨑薫が「近江君と歌謡」という題で『源氏物語』と歌謡との関わりについて、今様、口承文藝などにまで射程を拡げて発表した。つづいて第12回(7/22)では、山中悠希が「平安仮名文学の本文の韻律性と後世における受容」と題して『枕草子』の韻律性とその展開・受容について発表した。なお、その発表内容は、8月にGhentで開催されたEAJSでの研究発表へと結びついた。次の第13回(11/24)では、藤澤咲良が「『うつほ物語』の神楽と芸能的表現」の題で、芸能にみられる韻律的表現と諧謔性について発表した。さらに第14回(2/4)では、山﨑薫が「『源氏物語』における歌謡の「古めかしさ」と「今めかしさ」」という題で、玉鬘・近江君などに関する検討を行った。以上の研究会活動により、それぞれが主たる対象としているジャンルあるいは作品にみられる韻律的表現とそれに付随する諧謔性などに関する特徴、またそれらの受容について、参加者の間で共有することとなった。
さらに、本研究課題と関わる成果としては、物語文学と催馬楽・風俗歌との関わりを論じた山﨑薫の研究書が刊行された(志田延義賞を受賞)。また、堺本『枕草子』本文に関する新資料をとりあげた研究論文がまとめられた(山中)。一方で、韻律的表現と関わりのある笑いについて、パリ・シテ大学での国際研究集会で発表を行った(陣野)。
加えて、和歌の韻律性がどのように翻訳されうるのかという問題も、本研究の課題と関わりをもつことから、特に『六百番歌合』の英訳などで著名なトーマス・マッコーリ氏(シェフィールド大学)の講演会を開催した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の3年目も、オンラインによる4回の研究会を実施することにより、それぞれの研究の進展を図るとともに、『枕草子』、『うつほ物語』、『源氏物語』などにみえる韻律的表現について、また歌謡の各ジャンルに関して知見を共有する機会を得た。また、この研究会での発表内容の一部を論文化することもできた。
他方において、EAJSでこの研究プロジェクトのメンバーを中心にしたパネルを組み、発表するという当初の計画はかなわなかったものの、研究分担者の山中悠希がGhentで開催されたEAJS(2023年8月)にて研究発表を行い、日本古典文学における韻律的表現の重要性を国際的な場所で多くの研究者たちに向けて示すことができたのは、何よりのことであった。さらに、韻律的な表現との関連を有する笑いの問題へと研究を展開させてゆくための端緒もつかみはじめたことなどから、全体としては「おおむね順調に進展している」と考える。

今後の研究の推進方策

本研究プロジェクトの最終年となる4年目も、これまでと同様に、4人による研究会を基本的に2ヶ月もしくは3ヶ月に一度のペースでひらく予定である。ひきつづき、それぞれの研究の深化を図りつつ、和文における音韻、韻律の問題、またそれに関わる諸問題などについての探究へと繋いでゆきたい。また、それぞれの研究会での発表を論文化してゆくこともめざす。
一方で、韻律的な表現との関わりがある笑いという問題については、陣野が2023年度の後半から取り組み始めている。この研究テーマについては、フランスのダニエル・ストリューヴ氏(日本古典文学)が共鳴してくださり、2024年3月には氏が所属するパリ・シテ大学に客員研究員として陣野を招聘するとともに、「笑い」をテーマとする国際研究集会も開催されることとなった。ストリューヴ氏との間では、この一度だけの研究集会で終えるのではなく、日本古典文学の「笑い」をテーマとして継続的な研究プロジェクトを展開しようという相談も開始している。この企画は、当該科研費の研究期間中の方策というよりも、その後につづくものというべきではあるが、2025年度以降の展開の可能性として記しておく。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (29件)

すべて 2024 2023 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (13件) (うちオープンアクセス 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件、 招待講演 7件) 図書 (4件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] CRCAO(東アジア文明研究センター)/パリ・シテ大学(フランス)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『源氏物語』「少女」巻における漢詩文引用 ―陸機「豪士賦 序」が引かれる意味―2024

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 雑誌名

      河野貴美子・杜暁勤編『中日古典学ワークショップ論集 第一巻 ―文献・文学・文化―』(汲古書院)

      巻: なし ページ: 237-244

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 堺本枕草子の本文をめぐる再検討2024

    • 著者名/発表者名
      山中悠希
    • 雑誌名

      『立正大学文学部論叢』(立正大学文学部)

      巻: 147 ページ: 5-20

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 東洋大学附属図書館蔵(反町茂雄旧蔵)『清少納言枕草子』の本文とその位置付け2024

    • 著者名/発表者名
      山中悠希
    • 雑誌名

      『立正大学 國語國文』(立正大学國語國文学会)

      巻: 62 ページ: 28-48

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『源氏物語』「篝火」巻における韻律的表現―その全文を対象とした試論2023

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 雑誌名

      中野幸一 編『平安文学の饗宴』(勉誠出版)

      巻: なし ページ: 163-184

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 夕霧と雲居の雁の結婚と催馬楽引用──玉鬘をめぐる歌謡引用とのかかわりを通して──2023

    • 著者名/発表者名
      山﨑薫
    • 雑誌名

      『日本文学会誌』(盛岡大学日本文学会)

      巻: 35 ページ: 51-70

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 試論《源氏物語・少女》中的漢詩文引用 ―以引用陸機《豪士賦序》的意義爲例―2022

    • 著者名/発表者名
      陣野英則(馬如慧 訳)
    • 雑誌名

      杜暁勤 河野貴美子 編『文獻・文學・文化: 中日古典學交流與融通工作坊論集・第一巻』(北京大学出版社)

      巻: なし ページ: 130-135

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 明治期から昭和前期の『源氏物語』―注釈書・現代語訳・梗概書―2022

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 雑誌名

      『文学・語学』(全国大学国語国文学会)

      巻: 236 ページ: 40-49

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『枕草子』本文の受容と変容―諸本間の本文異同と「女」「女房」「乳母」をめぐる記述の差異から―2022

    • 著者名/発表者名
      山中悠希
    • 雑誌名

      横溝博 クレメンツ・レベッカ ノット・ジェフリー 編『日本古典文学を世界にひらく―EAJSで発表しよう』(勉誠出版)

      巻: なし ページ: 73-96

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 時空を超える『源氏物語』―文学上の理念・理論との相互作用―2021

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 雑誌名

      WASEDA RILAS JOURNAL(早稲田大学総合人文科学研究センター)

      巻: 9

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『堤中納言物語』「はなだの女御」論―物語から遠くはなれて―2021

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 雑誌名

      国文学研究(早稲田大学国文学会)

      巻: 195 ページ: 67-80

    • NAID

      40022742012

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『堤中納言物語』「貝あはせ」論―観音信仰を虚仮にする物語―2021

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 雑誌名

      古代中世文学論考(新典社)

      巻: 43 ページ: 203-223

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『枕草子』における女房としての「身」と「心」―「村上の先帝の御時に」の段の検討を通して―2021

    • 著者名/発表者名
      山中悠希
    • 雑誌名

      身と心の位相 源氏物語を起点として(青簡舎)

      巻: ― ページ: 131-149

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『源氏物語』「賢木」巻における催馬楽「高砂」─ 三位中将と光源氏の贈答に注目して─2021

    • 著者名/発表者名
      山﨑薫
    • 雑誌名

      日本歌謡研究

      巻: 61 ページ: 97-106

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 平安時代の物語における笑い2024

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 学会等名
      平安から明治時代にかけての笑いと日本文学(パリ・シテ大学〈Centre de recherche sur les civilisations de l'Asie orientale主催〉)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 『源氏物語』において揺り戻される時間をめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 学会等名
      Methods Workshop of the SNSF Project “Time and Emotion in Medieval Japanese Literature”(University of Zurich)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 『源氏物語』本文と国宝『源氏物語絵巻』との間―語り手への注目から2023

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 学会等名
      International Symposium: Mediality of Premodern Japanese Narratives - A Diachronic Perspective(University of Zurich)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Prosody of the heian kana classics and its afterlife: cases from the pillow book(平安仮名文学における本文の韻律性と後世の受容―『枕草子』の本文の例から)2023

    • 著者名/発表者名
      山中悠希
    • 学会等名
      17th International Conference of the European Association for Japanese Studies(Ghent University)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 堺本枕草子の本文をめぐる再検討―反町茂雄旧蔵本(東洋大学附属図書館蔵本)について―2023

    • 著者名/発表者名
      山中悠希
    • 学会等名
      立正大学國語國文学会 2023年度前期大会(立正大学)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 堺本枕草子研究のこれまでと今後の課題2023

    • 著者名/発表者名
      山中悠希
    • 学会等名
      立正大学人文科学研究所 新任教員発表会(立正大学)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 『源氏物語』と催馬楽──「藤裏葉」巻における催馬楽「河口」の引用をめぐって──2022

    • 著者名/発表者名
      山﨑薫
    • 学会等名
      国際会議「日本伝統文化と文学──形、イメージ、言語」(ワルシャワ大学東洋学部〈オンライン開催〉)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 明治末から昭和前期の『源氏物語』―注釈と現代語訳、そして批評との関わり―2021

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 学会等名
      全国大学国語国文学会 (令和3年度冬季 第124回大会)〈於 國學院大學〉
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Gallery of Variants: Dueling Portraits of the Feminine in Pillow Book Manuscript Lines2021

    • 著者名/発表者名
      山中悠希
    • 学会等名
      16th International Conference of the European Association for Japanese Studies
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] 物語と催馬楽・風俗歌―うつほ物語から源氏物語へ― (新典社研究叢書 367)2023

    • 著者名/発表者名
      山﨑薫
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      新典社
    • ISBN
      4787943677
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 堤中納言物語論 読者・諧謔・模倣2022

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      新典社
    • ISBN
      9784787943521
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 身と心の位相 源氏物語を起点として2021

    • 著者名/発表者名
      寺田澄江・陣野英則・木村朗子(共編著)
    • 総ページ数
      434
    • 出版者
      青簡舎
    • ISBN
      9784909181350
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 藤岡作太郎 「文明史」の構想2021

    • 著者名/発表者名
      陣野英則
    • 総ページ数
      158
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000269773
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [備考] 国際研究集会「平安から明治時代にかけての笑いと日本文学」

    • URL

      https://www.crcao.fr/2024/02/06/rire-et-litterature-japonaise-de-lepoque-de-heian-a-lere-meiji/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会・シンポジウム開催] トーマス・マッコーリ氏講演会 「『六百番歌合』にみえる「唐」の混乱―中世和歌・歌論の漢語への態度―」(早稲田大学)2023

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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