研究課題/領域番号 |
21K00280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 鶴見大学 (2023) 静岡県富士山世界遺産センター (2022) ふじのくに地球環境史ミュージアム (2021) |
研究代表者 |
田代 一葉 鶴見大学, 文学部, 准教授 (90567900)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 江戸時代の勅撰集編纂計画 / 桜町天皇 / 徳川吉宗 / 月光院 / 冷泉為村 / 御会和歌集 / 『車玉集』 / 大奥の歌人 / 江戸時代の和歌 / 勅撰和歌集 / 御会集 / 覚樹院 / 勅撰和歌集編纂 / 桜町天皇歌壇 / 烏丸光栄 / 女性歌人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、元文3年(1738)10月に江戸幕府8代将軍徳川吉宗の要請により計画された勅撰和歌集編纂について、桜町天皇の御代の朝廷と幕府との双方の動きを捉えつつ、『新続古今集』に次ぐ22番目の勅撰和歌集としてどのような歌集が目指されたのかについて考察する。 朝廷の歌人たちの悲願とも言える勅撰集編纂事業が、いったいなぜ完成を見なかったのかについても考察を行い、勅撰和歌集の研究史にこの編纂事業を位置づけることに加え、約300年間も途絶えていた国家事業に果敢に取り組もうとした桜町天皇歌壇の再評価を行う。
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研究実績の概要 |
当該課題「近世中期の桜町天皇歌壇における勅撰和歌集編纂計画に関する研究」の3年目となる2023年度は、幕府方の動きについて特に調査することとした。方法としては、徳川幕府の正式な記録である通称『徳川実紀』の中から、関連する将軍の御代について確認した。 具体的には、八代将軍で、勅撰和歌集の執奏を行った徳川吉宗の一代記である『有徳院殿御実紀』や、七代将軍で夭折した徳川家継の一代記『有章院殿御実紀』、またその付録としてつけられた生母・月光院に関する記述などを精読することで、幕府側における勅撰集編纂への兆しについて、考察することを行った。 このことは、これまで引き続き考えていたことであるが、月光院の家集『車玉集』について、内閣文庫所収の諸本について、国立公文書館での調査を行った上で、その他の所蔵のものも含めて七本の比較も行い、翻刻と解題を学内の雑誌に投稿た。勅撰集に載せるのであれば女性歌人の歌も欠かせないため、吉宗と親しかったとされる月光院の和歌のうち、冷泉為村の眼鏡にかなった歌について収録された『車玉集』は、この勅撰集で想定されていた和歌のレベルを知る上で、一つの指針になるものと考えられ、全文翻刻には意義があると考えている。 また、3月に京都産業大学で開催されたワークショップ「18-19世紀京都文芸生成の現場―みやこに吹く新しい風」(研究代表者:盛田帝子氏)に参加し、同時代の宮廷歌壇について御研究を行っている盛田帝子氏の「光格天皇の眼差し―京都御所という作品生成の場をめぐって―」などの御発表に大いに刺激を受けた。翌日には、京都大学附属図書館にて、貴重書の『中院通躬記』や、桜町天皇勅撰『内侍所御法楽千首和歌』、桜町天皇『桜町院御集』を閲覧した。来年度以降、これらの資料を用いて朝廷側、特に桜町天皇の動向について考えていきたいとの見通しがあり、今回の調査に至ったものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の進捗状況としては、やや遅れているといわざるを得ない。本来、これまでの遅れを本年度で取り戻すことを目標としてきたのであるが、幾つかの理由により、それらを取り返すことが出来なかったため、このような結果となった。 理由の一つには、職場を移った事による環境の変化から、思っていたようなスケジュールで研究を進められなかったということがあるが、2年目以降は、研究に集中できる時期とそう出ない時期の見極めがついたので、この点は改善できると考えている。 また、本年度はこの研究の核となる、全体像を示すような研究発表を年度後半に予定していたが、発表を希望していた学会の例会が開かれないことになり、発表のチャンスを失ったことがある。研究成果を発表していく順番として、この口頭発表が最初にあるべきであると考えていることと、その学会で発表をしたいと考えていたことから、本年度については、この内容については研究成果を挙げることが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、本年度行うことが出来なかった口頭発表について、まずはどの時期に発表を行うかを定めた上で、計画的に準備を進めることとしたい。 そのための調査についても、夏期休暇を利用するなどしてできる限り効率よく行うための下調べを行い、学期中であっても紙焼き資料の取り寄せや、それらの翻刻などの作業に時間を当てることを考えている。 今後は、これまでの調査などでわかってきた事から立てた仮説を、できうる限り資料によって裏付けていく作業になるので、資料の読み込みに出来るだけ時間を掛けたいと考えている。
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