研究課題/領域番号 |
21K00284
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中根 隆行 愛媛大学, 法文学部, 教授 (80403799)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 外地引揚派 / 外地引揚者の文芸創作 / 植民地文学 / 鶴見俊輔 / 中野重治 / 朝鮮引揚者 / 五木寛之 / 文芸創作 / 文化伝承 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1960年代後半から70年代にかけて登場する外地引揚げの経験をもつ書き手たちの文芸創作を対象として、諸テクスト群を方法論的に分析し、同時代の文芸的潮流として位置づけることを目的にしている。本研究では、1970年前後におけるデラシネの文化伝承という観点から、おもに村松武司、森崎和江、五木寛之、後藤明生などの朝鮮引揚者を中心にして、それぞれの文芸創作を検証し、同時代思潮としての傾向性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究「外地引揚派の文芸創作と1970年前後―デラシネの文化伝承」では、1960年代後半から70年代にかけて登場する外地引揚げの経験をもつ作家たちの文芸創作を対象として、諸テクスト群を整理・分析し、同時代の文芸的潮流として位置づけることを目的としている。 令和4年度は、前年度に引き続き、外地引揚者たちが文芸創作を始める基盤となる1950年代の文化状況を視野に入れながら、1970年前後まで包括的に資料調査・分析を実施した。とりわけ朝鮮戦争が勃発し、サンフランシスコ講和条約が締結される1950年代前半から1960年代にかけての時期を中心に検証している。外地引揚者の文学は、1960年代になると個々の作家やテクストを中心に研究が進められる傾向にあるものの、1950年代は戦後日本文学の基盤が形成される重要な時期であり、外地引揚者の知的背景や人的交流を含めて考察を行った。また、それとともに、1960年代における朝鮮引揚者たちの言論活動に焦点をあてて、五木寛之ら1960年代に登場した「外地引揚派」と呼ばれる作家の文芸創作の動向に関しても資料調査・分析を進めた。 令和4年度の研究成果としては、戦後における戦前の植民地文学の捉え直しや同時代の韓国・朝鮮に対する関心についてまとめた「戦後における植民地文学と文学史的な試みについて」(『日本近代文学』第106集、2022年5月)がある。以上のように、本年度は1950年代から60年代にかけての同時代文学・文化状況を中心に調査研究を実施した。研究発表や学術論文の掲載までには至っていないものもあるが、令和5年度に向けて本研究の研究成果を発表できるよう準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、コロナ禍の影響により当初の計画通りに実施できなかった。しかし、そのなかで資料調査やその検証・分析は進めており、研究成果についても次年度に公表できるよう準備段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、上記の通り、令和4年度の調査分析に基づき研究成果をまとめ、まずは五木寛之らを中心とする1960年代後半から1970年代にかけての外地引揚派の文芸創作の研究にとりかかる予定である。
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