研究課題/領域番号 |
21K00296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 帝塚山学院大学 |
研究代表者 |
福島 理子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (40309365)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 大塩平八郎 / 洗心洞詩文 / 頼山陽 / 広瀬旭荘 / 篠崎小竹 / 岡田半江 / 石川淳 / 陽明学 / 屈原 / 変化朝顔 / 近世後期詩壇 / 二人権兵衛 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、大塩平八郎(1792~1837)が賦し残した『洗心洞詩文』(明治12(1879)年刊)所収の漢詩と、新たに発掘した未収集の詩を中心に進める。①まずは、同書に収められる145首の詩に的確な訓読と注釈を施す。また同書に未収録の詩を捜索し、同じく訓読・注釈を施す。②それらの詩の読解によって明らかになる大塩の思想と詩風の変遷を分析する。さらに、③大塩の活動した文化文政期および天保年間の詩壇、画壇から、彼がいかなる影響を受け、またいかなる影響を及ぼしたかを調査し、④反乱の主唱者あるいは思想家という従来の理解の枠に収まらない、大塩の詩人としての足跡を、日本近世漢詩史の上に位置づけたい。
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研究成果の概要 |
本研究では、まず『洗心洞詩文』所収の全詩に訓読、注と訳を施した。また、資料として、詩軸3点(刊本未所収詩3首)に加え、新たに屏風1点と詩軸3点の詩22首(刊本未所収詩12首)を得た。 大塩は自らを屈原を髣髴とさせる憂人として他者の眼に触れることを想定し、詩稿をまとめたと考えられる。詩では直截的な世情批判は抑えられ、隠微に示す漢詩独特の筆法が駆使されている。その一方で、風流を愛する文人としての側面も見せており、彼の新たな一面が窺える。大塩事件は儒者たちに自らの思索や理論を実践することの意義を問いかけたが、近代に至ると、石川淳の小説に物語のしかけとして取り込まれるなど、幅広い展開を見せる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大塩平八郎について、従来、与力としての業績、陽明学者としての著述、最期の決起とそれに至る行動を基に多面的に論じられてきたが、彼が残した詩賦は等閑視されてきたと言わざるを得ない。しかし、近世後期屈指の文人であった頼山陽、田能村竹田、篠崎小竹、岡田半江とともにあって、彼の詩は高いレベルを保っており、また、その表現からは、他の資料からは窺えない大塩の思想、感情、志、美意識を読み取ることができる。また、刊本以外の自筆資料と突き合わせることによって、新たな情報が読み取れる。今後の大塩研究においては、彼の詩が踏まえられることが必須である。本研究によって成した訳注を2024年中に公刊したい。
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