研究課題/領域番号 |
21K00300
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 帝塚山大学 (2022-2023) 国際日本文化研究センター (2021) |
研究代表者 |
中川 真弓 帝塚山大学, 文学部, 准教授 (20420416)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 願文 / 三十六歌仙画帖 / 石清水八幡宮 / 藤原定家 / 田中宗清 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、鎌倉・室町時代に執筆された石清水八幡宮関係の願文作品を研究対象として、願文の内容やその執筆背景について精査し、中世文学における位置づけを明確にしていくことを目的とする。 漢文体および仮名文体の願文作品をともに読みとき、願文執筆者たちの表現方法、さらには同時代における石清水八幡宮関係者と文人・歌人の文化的な交渉を考察して、文学史上に位置づけることを目指す。 本研究は、それまでの漢文体の願文と、新しく生まれた仮名願文の結節点を探るものとしても位置づけられる。
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研究実績の概要 |
本年度は、石清水八幡宮に所蔵される田中宗清を願主とする願文群について、引き続き調査をおこなった。それらの願文群は、宗清の将来に対する祈願を述べた願文と、長男章清の供養のための願文に分けられる。前者は、石清水祠官家内部における熾烈な別当職争いを反映して作られている。後者は、嫡男であった章清が16歳で亡くなり、宗清が深い悲歎の中でおこなった供養に関わるものである。 『本朝文集』巻33所収の菅原為長による「為猶子某祈冥福諷誦文」も、亡くなった章清のための諷誦文であり、章清を猶子としていた女性が願主をつとめている。文章の中には、彼女が猶子の死を契機に出家したことが述べられている。願主が女性であることから、文中には女性特有の表現が見え、そのなかでも當麻曼荼羅を新たに作成したことへの言及は注目される。 また、藤原孝範が執筆した「石清水権別当宗清願文」を対象として、宗清が置かれていた歴史的背景や、宗清の家族に対する意識について考察した。以上の願文については、次年度に口頭発表および論文で取り上げる予定である。 さらに本年度は、石清水八幡宮社僧であり、寛永の三筆の一人としても知られる松花堂昭乗が書いた「三十六歌仙帖」について考察し、同じ三十六歌仙を扱った帝塚山大学蔵「三十六歌仙画帖」を調査した。この帝塚山大学蔵「三十六歌仙画帖」は、浜町狩野家の祖である狩野岑信が絵を担当しており、和歌は近世初期の公家たちによる寄合書である。その考察については、「帝塚山大学蔵「三十六歌仙画帖」の周辺」(『帝塚山大学文学部紀要』45、2024年3月)として成稿化した。 その他、自治体や所属大学がそれぞれ開催する市民向け公開講座に講師として登壇するなどして、石清水八幡宮関連の願文類について、アカデミアのみならず一般向けにも情報発信をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
石清水八幡宮に所蔵される田中宗清を願主とする願文群について、研究課題の中心として調査と検討を進めてきた。予定されている口頭発表および論文等による成果公開は来年度以降となることから、本年度までの進捗状況としてはやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究課題について調査・検討をおこなう。執筆予定の論文や研究会での発表が予定されているので、それらを通して研究成果を形にしたい。
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