研究課題/領域番号 |
21K00322
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 将久 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (00298043)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 魯迅研究 / 翻訳 / 日本の中国研究 / 中国研究 |
研究開始時の研究の概要 |
魯迅の作品は、魯迅と同時代の戦前から現在にいたるまで、多くの訳者によって日本語に翻訳されてきた。訳者の中には、日本の主な中国文学研究者のほか、広く中国文化を日本に紹介した人が含まれ、広い意味での日本思想史が反映されている。本研究は、翻訳を異なる文化間の相互的な交渉と位置づけて、日本における魯迅テクストの翻訳を対象として、具体的な翻訳とその背景について、複数の次元から総合的に考察するものである。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、魯迅テクストの日本語訳の持つ意味を文化翻訳の視点から問い直し、その意味を明らかにすることである。そのため、第一に、日本でこれまでなされてきた魯迅の翻訳について、個々の翻訳の細部を詳細に検討する。第二に、魯迅理解は日本の中国認識と重なってきたことに鑑み、翻訳の検討を通じて日本の中国認識の歴史的変遷を問い直す。第三に、その成果を国内外の研究者とくに中国本国の研究者と交流し、日本発の魯迅研究のあり方を模索する。 令和四年度は、日本における初期の魯迅翻訳の中でも重要な翻訳者である増田渉の魯迅理解および翻訳の細部について研究を進めた。とくに関西大学図書館に所蔵されている増田渉文庫を直接調査して、増田渉による書き込みを逐一確認した。その成果は中国語による論文にまとめて、中国の学術雑誌に投稿中である。 また日本の中国文学研究を海外に紹介する作業として、4回の報告をいずれも中国の大学主催でオンラインで行った。まず日本の魯迅研究者の代表的人物である竹内好について「竹内好与中国」と題して報告した。第二に80年代以降の代表的研究者である丸尾常喜について「日本脈絡中的”人民性”」と題して報告した。第三に日本で最近出版された魯迅論を日本の研究史に位置づける報告を「用日文読王欽的魯迅論」と題して行った。最後に清華大学において「近二十年日本的中国現代文学研究」と題する講演を行った。なお清華大学での講演原稿をもとにした論文を中国の学術雑誌に投稿中である。 さらに、直接魯迅と関わらないが、中国文学における文化翻訳を考える上で重要な対象である瞿秋白のロシア体験について、「瞿秋白接受馬克思主義信仰的思想脈絡」と題して論文を執筆し、中国の学術雑誌『長江学術』2022年第3期に発表した。 全体として、成果を中国において発表することで、日本の中国現代文学研究を発信する活動を進めることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一の目的について論文をまとめることができ、発表を待つ状況になっている。第二の目的についても、複数の講演や報告を行うことができた。なによりも第三の目的について、大きな進展をとげることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
令和五年度には海外出張を再開させ、中国の研究者との対面による学術交流を深化させる。また増田渉の魯迅翻訳に関する論文の発表をまち、次のテーマとして駒田信二の魯迅翻訳について研究を行う。駒田信二の活動は多岐にわたるので、その全体像を踏まえて魯迅翻訳の特質について総合的に考える。さらに、日本の中国研究の歴史に対する整理と分析も続けて行う。
|