研究課題/領域番号 |
21K00326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
緑川 英樹 京都大学, 文学研究科, 教授 (30382245)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 黄庭堅 / 任淵 / 史容 / 山谷抄 / 万里集九 / 帳中香 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「黄庭堅の詩文集編纂と注釈の成立はいかに関わるか」「黄庭堅詩の旧注の特質と方法はどのようなものか」「黄庭堅詩の解釈に抄物(山谷抄)をいかに活用できるか」という三つの問いを基軸にすえ、注釈学的な観点からその解決を図るものである。そのために、具体的には「(1)黄庭堅集とその注釈に対する精読・分析、(2)黄庭堅集および山谷抄の文献調査・撮影、(3)詳細な黄庭堅詩訳注の作成とその公刊」を進めてゆく。
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研究実績の概要 |
本研究は中国北宋の代表的な詩人、黄庭堅(1045-1105、字魯直、号山谷)の詩集に施された注釈の特徴と方法、およびその文献価値を探究するものである。任淵・史容・史季温ら宋人の旧注のみならず、万里集九・月舟寿桂ら日本の五山禅僧によって作られた抄物資料(いわゆる「山谷抄」)も活用し、黄庭堅の詩に対する新たな解釈の地平を切り拓くことを目指す。 事業期間4年の2年目にあたる本年度は、昨年度に引き続き、研究の基盤整備に相当する作業として黄庭堅集およびその注釈に対する精読・分析を進め、内集・外集を中心におよそ120首の詩の訳注(初稿)を完成させた。作業の過程においては、オフィス・アシスタント(大学院生1名を雇用)の協力を得ながら、関連資料の網羅的な収集と整理に努めた。 本年度に公表した論文「五山僧が読んだ黄庭堅集――万里集九『帳中香』を手がかりに」は、五山僧がいかに黄庭堅集の諸本を利用したかについて、当時の蘭坡景シによる禁裏での山谷詩進講や万里集九が居を構えた美濃鵜沼の読書環境を紹介しつつ、考察を加えたものである。『帳中香』が原典として使用したテキストや五山僧間の師承関係を明らかにし、特に南宋・史容『山谷外集詩注』に関しては、以前の拙論の内容を一部訂正するなど、室町時代の禅林における黄庭堅集の流布の情況を全面的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が目標とする黄庭堅詩訳注の公刊に向けて、基盤整備に相当する作業を継続するとともに、およそ120首の詩の検討と原稿執筆を終えた。また、室町時代後期に作られた山谷詩の抄物のうち、万里集九『帳中香』、月舟寿桂『山谷幻雲抄』など、五山禅林における黄庭堅詩解釈に関しても順調に考察を進めている。ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)の疫情は比較的落ち着きつつあるとはいえ、本年度も残念ながら海外渡航に制約があり、海外での文献調査や学会活動への参加は滞ったままである。
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今後の研究の推進方策 |
黄庭堅詩訳注の作成を最優先にし、次年度のうちにその大部分を完成させる予定である。並行的に得られる成果として、黄庭堅の汝州葉県尉在任期の詩に関する論文、および銭鍾書『談芸録』第二条「黄山谷詩補註」の訳注の公表をめざす。また、次年度以降も引き続き『帳中香』を中心とした抄物研究を継続し、万里集九自跋・笑雲清三書入の東福寺蔵『帳中香』写本を精査したうえで、異本との校合、『山谷幻雲抄』『黄氏口義』など他の山谷抄との比較をおこないたい。コロナ禍の情況次第で流動的ではあるが、国内外の所蔵機関に赴き、黄庭堅集に関連する文献調査も適宜進めてゆく。
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