研究課題/領域番号 |
21K00327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
陳 羽中 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (50457412)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 金沢本白氏文集 / 南禅院本 / 慧萼鈔本 / 旧鈔本 / 日本国現在書目録 / 全唐詩逸 / 白居易 / 長恨歌 / 慧萼鈔南禅院本白氏文集 / 漢籍復原 / 那波本白氏文集書入 / 明郭勛刻白氏詩集 / 全唐詩稿本 / 元和四年作新樂府 / 旧鈔本唐詩集 / 白氏文集 / 慧萼 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、金沢本白氏文集に見られる摺本の書き入れを蒐集して整理し、まず、この摺本の原形の一部を復元し、現存する『白氏文集』の諸刊本の源流の出発点を明らかにする。また、豊原奉重が二次校勘時に使用した「菅大府卿證本」、第三次校勘時に使用した「傳下之御本」の書き入れを選別して整理し、それらの校本の性格を明らかにした上、東アジア諸国における『白氏文集』テキスト受容の変遷及びその文化的背景を探る。さらに、白居易自撰の南禅院本『白氏文集』を、金沢本と天海本にフォーカスし、多層かつ具体的に分析を加えることで、失われた古籍の原型とその本文が復元可能になるという新しい研究領域を切り拓こうとする。
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研究実績の概要 |
本年度の研究は、金沢本『白氏文集』を中心とする旧鈔本資料群及び那波道円書入本資料群を基本文献とし、南禅院本白氏文集(詩集)の前十巻の復元作業を試みた。また、その周辺にある六朝及び唐代文学に関する写本資料を整理し、江戸時期における『全唐詩逸』の成立経緯に関する研究も行った。具体的には、復元した『白氏文集』前十巻の中の巻一を選び、研究成果として公刊した。さらに、現存する白居易詩集に見られる自注を整理して一覧表を作成し、その題下注を手掛かりとして刊本系統に見られる詩題と題下注との混同という問題の解明に取り組んだ。『白氏文集』の周辺文献に関する研究は、五山文学に見られる杜甫資料を整理して公刊した。また、『日本国現在書目録』に見られる「冷然院」と「冷泉院」との注記に着目し、『日本国現在書目録』の成立経緯に関する新たな説を提出して論文を公刊した。そのほか、本研究に関係のある旧鈔本漢籍や江戸文人の市河寛齋が編纂した『全唐詩逸』に関する研究にも取り組んだ。研究成果として、「試論日本古鈔漢籍文献学之構築」(中華文明日本傳播史工作坊会議、於北京大学、オンライン、2022年4月23日)、「市河寛齋《全唐詩逸》所收僞唐詩考」(中國唐代文學學會第二十一届年會曁唐代文學国際學術研討會、於陝西師範大学、オンライン、2022年12月11日)「慶應義塾圖書館藏《論語疏》卷六獻疑」(第三届早期中國經典研究学術研討會、於北京師範大學、オンライン、2022年12月18日)等の国際学会で口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は詩集前十巻の復元作業を行ったが、新型コロナウィルス感染症の影響により、国内外の所蔵機関へ赴いて現物を調査することが依然として難しかったため、影印本およびオンラインで画像公開されているテキストを中心に調査を行った。具体的には、金沢本及び那波本白氏文集の書入本、さらに引き続き郭勛刻白氏詩集(明刊本)や宋代以後編纂された詩文総集所収の白居易詩文に対する調査を行い、諸本を研究するに際しての複数の問題点を明らかにするとともに、慧萼鈔南禅院本白氏文集前十巻を中心とする復原作業も計画どおりに進み、研究成果の一部が国際学術誌に投稿して採用された。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、可能であれば各蔵書機関に赴き、所有している影印本や撮影済みの旧鈔本資料と読み比べ、研究を進めていく予定である。具体的には、「慧萼鈔南禅院本『白氏文集(詩集)』の復元」に取り組み、巻十一から巻二十までの復原作業や本文校勘、とくに「長恨歌」や「琵琶引」などの重要作品を収めた巻十二に重点を置いて研究を進め、その都度国際学術誌に投稿して論文を発表する予定である。
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