研究課題/領域番号 |
21K00333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中村 みどり 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30434351)
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研究分担者 |
高橋 俊 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (10380297)
中野 徹 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (20610512)
杉村 安幾子 日本女子大学, 文学部, 教授 (50334793)
齊藤 大紀 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (70361938)
中野 知洋 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70372638)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 青島 / 高等教育 / 知識人 / 中華民国 / 近代文学 / アイデンティティ / 都市間移動 / 都市間の文化往来 / 民国期知識人 / 国立青島大学 / モダニズム / ジェンダー / 中国現代文学 / 文芸活動 / 国立山東大学 / 現代中国文学 / 教育都市 / 1920-1930年代 / 中国人アイデンティティ |
研究開始時の研究の概要 |
青島および山東省は、中国の都市研究および近代文学研究において取り上げられる機会は少ない。だが南京国民政府の成立後、中国人の手による都市建設と高等教育の普及がすすめられると、青島には新たに国立の総合大学である青島大学が設立され、改組後に国立山東大学が誕生し、大都市北京や上海から済南、青島に著名な教育者・文学者が集っていた。 本研究では、青島大学および山東大学の教壇に立ったアメリカ留学経験者を中心とする 教育者・文学者たちの活動を北京、上海、南京、大連など各都市との往来という視点から捉え、1920~30年代における中国人主体の都市文化の形成を高等教育および文学研究の面から多角的に捉えるものである。
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研究実績の概要 |
本研究がスタートした2021年度以降、コロナ禍の影響が長びき、日本から中国へ渡航するためのビザ取得には困難がともなったままである。このため、3年目にあたる2023年度は、以前より代替案として検討していた台湾・台北への海外資料調査を実施し、併せて第1回研究例会を現地で開催した。 8月23日に2023年度第1回研究例会を開催し、各研究メンバーの現時点での研究報告とそれに対する質疑応答、意見交換をおこなった。同研究例会をはさんだ前後の約1週間は、研究メンバー各自のスケジュールに合わせて、台湾大学図書館、国家図書館、梁実秋旧居を訪問し、中華民国時期の斉魯大学、青島大学、国立山東大学などに関する資料のほか、それらの高等教育機関に関わった教育者・文学者・文化人の資料の収集をおこなった。台湾は日本以上に研究資料のデータベース化と公開がすすんでおり、また現在の中国では既存の文学史観によりさほど注目されていない中華民国期の事物や人物に関する資料があり、これまでとは異なる角度から調査をすすめることができた。また梁実秋をはじめとし、社会主義の中華人民共和国には留まらず、台湾を選んだ欧米留学派文学者の戦後の教育・文芸活動について知るきっかけを得て、より広い視野から、青島とその周辺都市とのつながりを有する知識人が戦後に台湾に移動し、そこで果たした文化的役割についても考えることが可能となった。 2024年3月28日に2023年度第2回研究例会をオンラインにて開催し、各研究メンバーの本年度の研究業績の紹介、それに対する質疑応答、意見交換をおこなった。参加困難な事情を抱えた者はレジュメを提出し、紙媒体で参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば、青島およびその周辺都市におもむき、中華民国時期の斉魯大学、青島大学、国立山東大学などに関する資料のほか、それらの高等教育機関に関わった教育者・文学者・文化人の資料調査をおこなうことを予定していたが、コロナ禍以後、今日に至るまで中国渡航には煩雑なビザの手続きが求められており、研究者が招聘なしに中国に行くには困難な状況がつづいている。このため、資料調査はかならずしも計画通りにすすんでいる訳ではないが、2023年度は代替案として、中華民国期の資料を豊富に所蔵する台湾・台北での資料調査をおこなった。また本研究がスタートした2021年度以降、研究メンバー各自、国内での資料調査をすすめ、毎年、年2回の研究例会を開催して研究報告、それに対する質疑応答、意見交換をおこない、これらのことを通して研究成果を互いにブラッシュアップすることをこころがけてきた。 なお、2023年度は研究代表者が研究休暇を取得しており、かつ家族の介護などの問題を抱えていたため、第2回例会はオンラインで開催し、本人はレジュメ提出で参加するなど、例年ほど活発に研究活動をおこなうことが叶わなかった。このため、2023年8月に台北で開催した第1回研究例会の場で研究メンバーに相談の上、研究期間を1年間延長し、2024年度までとすることを決定した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2024年度は、引きつづき中国への渡航が難しい場合は、予算に余裕がある研究メンバーは、2023年度と同様に、中華民国時期の斉魯大学、青島大学、国立山東大学などに関する資料のほか、それらの高等教育機関に関わった教育者・文学者・文化人に関する資料調査のため、台湾・台北へ赴くことを計画してもらう。一方、これまでの国内における調査および2023年度の台北での調査で十分な資料を得たメンバーには、参加を求めないこととする。 研究メンバーは、それぞれのペースで各自の研究課題に関わる調査と考察をすすめ、2024年夏に開催する2024年度第1回研究例会にてその途中報告を、また2025年春に開催する第2回研究例会にて研究成果の報告をおこなってもらう予定である。同研究例会には、別途、青島およびその周辺都市にかかわる分野を対象とする研究者にゲストスピーカーとして参加してもらい、各メンバーの研究課題に対する考察をより深める機会を設けることも考えている。 そのほか、各メンバーには、青島をめぐる中国近代文学と知識人を研究課題とした以前の科研で得た知見と比べて、今回の科研でどのように異なる視点を手に入れたのかを明確にしてもらい、次の共同研究へとつながる意見交換と検討をおこないたい。また各メンバーの研究業績が、ある程度まとまった場合は、研究雑誌の特集のような形で研究報告を発表することも視野にいれる。
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