研究課題/領域番号 |
21K00361
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大島 久雄 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80203769)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | シェイクスピア / 登場人物 / 視覚的受容 / インターテクスチュアリティ / 図像データベース / 坪内逍遥 / オフィーリア / 俳優 / 黒澤明 / リア王 |
研究開始時の研究の概要 |
大英帝国の発達する視覚文化の中で誕生し、やがては日本にも移植されて現代にまで続くシェイクスピ登場人物の視覚的受容とキャラクター文化形成のインターテクスチュアリティを探るためにその原点となる18世紀・19世紀のシェイクスピア舞台絵画・俳優肖像画・絵入全集挿絵・諷刺画の図像データベースを構築する。この図像データベースを研究ツールとしてシェイクスピア俳優の伝統や英国的国民文化の核となるキャラクター文化・諷刺文化の社会的な役割を視覚的受容事例分析から明らかにし、明治期新派・新劇俳優の誕生や坪内逍遥のシェイクスピア全集などにも明確に認められるその日本への伝播をインターカルチュラルな観点から明らかにする。
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研究実績の概要 |
科研研究2年目としてシェイクスピア劇登場人物視覚的受容に関する文献・図像資料の収集を行い、新型コロナ感染症のために国外の研究機関における調査・研究が困難なために国内の研究機関・図書館・博物館・劇場にて資料調査と収集を進めた。特にインターテクスチュアリティ研究に必要な関連研究文献の充実を図りつつシェイクスピア劇登場人物視覚的受容のケーススタディとして論文を執筆して学術誌に寄稿した。女優像形成に関連して日本におけるオフィーリア受容を取り上げた論文 "Ophelia and the Tradition of 'Joyu' in Japan" は、韓国シェイクスピア学会発行特別号 "Shakespeare Review" Vol.57 No.4; Special Issue: Intersections in Shakespeare" (2022.4) に掲載された。坪内逍遥と日本におけるシェイクスピア登場人物視覚的受容に関しては早稲田大学で開催された国際学会"Found in Translation: Understanding Shakespeare through Intercultural Dialogue" (2022.9.17-19)において研究発表を行った。坪内逍遥は全集刊行によって日本におけるシェイクスピア登場人物の視覚的受容において大きく貢献しているので、引き続き研究・調査を進めている。進行中の登場人物視覚的受容ケーススタディとしてはリア王、シャイロック、ハムレット等に関する調査研究を実施し、データベース化し、今年度10月開催予定の韓国シェイクスピア学会開催国際学会に研究発表を申請し、海外研究者とのシェイクスピア研究書共著発行の準備も進めている。またデータベースをインターテクスチュアリティ研究に活用する研究手法の開発も継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症の継続により研究対象を国内で可能な登場人物視覚的受容研究にシフトしてきたが、過去の国際学会での研究発表などが海外の関連学会誌や図書などにアクセプトされて成果をあげつつある。具体的には研究実績概要にも述べた日本におけるオフィーリア受容を取り上げた論文 "Ophelia and the Tradition of 'Joyu' in Japan" [韓国シェイクスピア学会発行特別号 "Shakespeare Review" Vol.57 No.4; Special Issue: Intersections in Shakespeare" (2022.4) 掲載]と坪内逍遥と日本におけるシェイクスピア登場人物視覚的受容に関しての研究発表["Found in Translation: Understanding Shakespeare through Intercultural Dialogue" (Waseda University: 2022.9.17-19)]であり、ケーススタディを積み重ね、関連する研究資料・文献収集も順調で、登場人物図像データベース構築とインターテクスチュアリティ研究の深化も継続的に実現できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、過去2年間の研究を振り返って研究方法の見直しを行いながらシェイクスピア劇登場人物視覚的受容インターテクスチュアリティ・ケーススタディをさらに積み重ね、関連研究資料・文献収集と登場人物図像データベース構築によりインターテクスチュアリティ研究のさらなる深化を目指す。具体的には、進行中のリア王・ハムレット・シャイロック等に関するケーススタディを進め、コロナも収束してきたので海外の関連研究機関において調査を実施し、研究成果を海外開催国際学会で発表し、論文執筆・掲載につなげていく。すでに申請中の今秋開催予定の韓国シェイクスピア学会開催国際学会での研究発表はその一つであり、昨年より継続してきた海外研究者とのシェイクスピア研究書共著発行に向けて論文を完成させる。研究成果の社会還元として11月にシェイクスピア登場人物受容における俳優の役割に注目した市民対象公開講座を企画・開催するとともに、ネットを活用したその他の研究成果の公開方法についても検討していく。今後の最も重要な課題は、登場人物視覚的受容データベースをインターテクスチュアリティ研究に活かす研究方法の開発と実践による検証である。
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