研究課題/領域番号 |
21K00377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
麻生 享志 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (80286434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ベトナム戦争 / 難民文化 / 越境 / アジア系アメリカ文学 / 戦争とトラウマ / 文化の越境 / アメリカ文化 / 太平洋横断的 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1960年代対抗文化以降に形成・発展したアメリカ大衆文化、1970年代に先鋭化したアジア系アメリカ運動とそれによるアジア系文化の形成、さらに1990年代以降のベトナム系難民文化を対象に、これらの文化間に見られる相互関連性を検証する。また、越境や横断を特徴とするこれらの文化をアメリカ的複合文化の一部と捉え、そこに見られる文化の論理と倫理を分析する。 研究実施にあたっては、1) 本研究代表者による米越での現地調査等; 2) 関連分野の研究者・芸術家を招聘しての講演・国際シンポジウム等の開催を基軸とし、領域横断的に多様な知性が出会う場を提供することで、新たな学術的知見の創造を目指す。
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研究実績の概要 |
ベトナム戦争における難民の流出から派生することになったベトナム系難民文化について、文献等を中心に基礎研究を継続的に進めた。以下、その概要である。 1) すでに課題番号18K00435「太平洋横断的ヴェトナム系アメリカ文化研究の構築にむけて」において進めていた、ベトナム系難民作家 Lan Cao とその娘 Harlan Margaret Van Cao による自伝書 “Family in Six Tones: A Refugee Mother, an American Daughter” の翻訳・出版が、2022年12月に実現した。(『ランとハーランー母は難民、娘はアメリカ生まれ』。)難民母娘による物語りというテーマは、これまで期待されつつも実現されることがほぼなかったがゆえに、関連分野の研究者の意見等を広く聴取し、今後の研究に活かすことになった。カオが抱える戦争トラウマについては、心理学系の研究者、またカオの法曹における活躍は、法学系研究者の関心を集め、これまで文化・文学分野に留まることが多かった研究領域が、学際的に広がる可能性を見いだした。 2) 2023年9月に開催予定のアジア系アメリカ文学会年次フォーラムにて、『ランとハーラン』の翻訳作業を通じて得た知見に関する、シンポジウム発表を依頼された。戦争トラウマの表象におけるフィクション(物語)とノンフィクション(自伝)の役割に焦点をあて、ベトナム系アメリカ文学における想像/創造力をテーマに論じる予定。 3) 日系アメリカ人の第二次世界大戦時、強制収容をテーマに研究を行う Universite du Quebec a Montreal (カナダ)所属の Greg Robinson (教授)と戦後アジア系文学に関する意見交換を行った。また、2023年5月来日予定の同氏の早稲田大学における講義をサポートすることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
引き続きコロナ禍による移動制限が続いたことから、本研究に本来ならば欠かせない海外でのフィールドワークや海外講師の招聘等は滞る状況が続いた。一方で、2023年に向けては次第に正常化しつつあり、3年ぶりに招聘講師を迎えての講義等を計画することになった。また、"Family in Six Tones" の翻訳・出版は、難民研究の新たな可能性を示す結果になった。以上のことから、コロナ禍による行動制限は引き続きあったものの、本研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年以降期待される移動制限の完全解除を目前に、本研究の主要課題である海外におけるフィールドワークの実施や海外講師の招聘の再開を模索中である。まずは、海外講師の招聘や国内外の学会への参加を実施したのち、海外でのフィールドワークを再開したい。同時にコロナ禍で培ったオンライン等を使っての情報収集、および意見交換や研究成果の発信を、引き続き進めていく予定。多様なメディアの活用は、今後研究課題成果の公表にあたり重要なテーマとなる。
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