研究課題/領域番号 |
21K00389
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
芦津 かおり 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30340425)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | シェイクスピア / 悲劇 / 翻訳 / リア王 / ハムレット / 黒澤明 / 映画 / 翻案 / りゅーとぴあ / 上演 / 異文化 / 英語 / 日本語 / 書き換え |
研究開始時の研究の概要 |
近年の翻訳研究は、いかに優秀な翻訳者が「等価」と「忠実」を心がけても、翻訳には社会的思想的要因が否応なく潜入し、原作テキストを屈折・変形させることを示してきた。本研究は、シェイクスピアの日本語訳を緻密に分析し、原作に加えられた屈折や変形の隠微な痕跡を、その背景的要因―時代精神やイデオロギー、社会・経済活動、文化的規範など―とともに解明することを目的とする。また同時に、日本語訳の分析を通じて、原作テキストの重層性や豊かな解釈可能性にも目を向け、シェイクスピア理解の深化を目指す。すなわち本研究は、シェイクスピア受容の主体・客体の両面に光を当てて理解を深める試みである。
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研究実績の概要 |
2023年度は、シェイクスピアの「翻訳」という概念やジャンルの可能性と限界を見極める目的で、日本人監督・黒澤明による映画『悪い奴ほどよく眠る』とシェイクスピア悲劇『ハムレット』の関係性や、文字と映像の両面における「翻訳」について細かく考察した。成果としては、5月の日本英文学会全国大会における招待発表「黒澤明とShakespeare--『悪い奴ほどよく眠る』と悲劇Hamletの関係を中心に」(関東学院大学)、および9月の国際学会" Translation of Shakespeare as Cultural Exchange"における特別講演"Haunted by Hamlet ― Akira Kurosawa’s The Bad Sleep Well"(早稲田大学)がある。これらの研究の内容は、現在英語論文として執筆・修正中である。さらに、上記研究のなかで、同映画をシェイクスピア悲劇『マクベス』の映像的翻訳として解釈する糸口を見出したので、その点についての考察も進めている。 さらに、昨年度より引き続き、国際プロジェクト(ASIA)の国際オンライン学術エディションを編集する作業に当たっており、劇団りゅーとぴあによる舞台『リア王/影法師』(2004年)と、韓国のTheatre MoolleeによるLady Macbeth(2010)の舞台に関する詳細な注釈をつける作業を複数のメンバーで行っており、シェイクスピア劇を多言語・他言語および多文化・他文化に「翻訳」するという問題を中心的に考察を進めてきた。その成果は、近年オンラインで発表されるAIDA Scholarly Editionsで発表される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とは異なる作品を取り上げることにはなっているが、もともと設定していたテーマに即した研究が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、シェイクスピア劇が日本の翻案や翻訳に作り替えられる際におこる言語的・文化的な「変形」「屈折」を明らかにする作業を行っている。2024年度には、さらに複数の作品を対象に、同様の考察を行うとともに、国際学会や国内外のジャーナにおいて成果を発表する予定である。
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