研究実績の概要 |
17世紀全般にわたるオードの歴史を、変遷の鍵となる詩人の重要な詩に焦点をあてながら分析し、概観として再構築した。その際に本研究における第一段階での考察対象としたのは、Ben Jonson (1572-1637) の Cary-Morison Ode、Andrew Marvell (1621-1678) の‘Horatian Ode'、Abraham Cowley (1618-1667) の Pindaric Odes、特に 'Brutus' Ode、そして John Dryden (1631-1700) の‘Song for St Cecilia’s Day: Alexander's Feast’である。本来、公的な性質を持つオードが、当時の政治状況や懐疑主義の影響を受けてその二重性、両義性を特徴とするようになったことを発見し、さらにロマン派の詩人たちの中で隆盛を極めた私的な情緒や感情を扱う次の時代のオードへと展開していく萌芽をドライデンのオードに読み取った。その成果は、2023年度6月にオックスフォード大学出版局から出版予定である。なお、調査の過程でベン・ジョンソンに関しては、The Cambridge Edition of the Works of Ben Jonson, ed. David Bevington, Martin Butler, and Ian Donaldson, 7 vols. (Cambridge: Cambridge University Press, 2012)、ジョン・ドライデンに関しては、The Poems of John Dryden, ed. Paul Hammond and David Hopkins, 5 vols. (Harlow: Pearson Education Limited, 1995-2005) を科研費により入手した。
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