研究課題/領域番号 |
21K00394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
小原 文衛 公立小松大学, 国際文化交流学部, 教授 (10262544)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 映像分析 / ゾンビ映画 / ホラー映画 / 映像理論 / 映画史 / 小文字の歴史 / フィルムとデジタル / メディア・テクノロジー / 映画技法論 / ナラトグラフィ― / アメリカ映画 / インディアン戦争史 / アメリカ史 / アメリカ先住民 |
研究開始時の研究の概要 |
映画研究(技法論・物語論・精神分析)の手法と歴史学の手法を融合させた本研究では、アメリカのホラー映画に繰り返し現れる〈籠城〉のモチーフを、メインストリームの歴史学では直接語りえない〈歴史学的トラウマ〉、つまり、アメリカ大陸植民期からインディアン戦争に至る白人入植者による〈暴力〉の歴史の表象であることを実証し、このモチーフに関する文献研究と歴史学的な資料を基にした分析を実行、〈アメリカ史〉の再構築のための研究を行う。
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研究実績の概要 |
令和5年度は映画のイメージと文学のイメージが如何に反響し合うかという研究を重点的に行い、「ヘミングウェイからタランティーノへ--身体/武器の系譜学」(『ヘミングウェイ研究第24号』)に発表した。また、昨年度に引き続いて、映画の表面=イメージにおける変容、つまり、アナログからデジタルへの変遷が映画内部の物語がどのように変容するのか、映画制作という過程全体にどのような影響を与えるのかという問題についての知識基盤の拡大ををGarrett Stewart, Framed Time: Toward A Postfilmic Cinema(2007)の翻訳作業を通して行った(翻訳は令和6年度に出版予定)。上記の作業は、George A. Romero監督のゾンビ映画における人体破壊あるいはゾンビ破壊のイメージ・映像が、西部劇を含む他ジャンルの作品における人体破壊イメージ、さらには文書という文字の媒体が精神内部に喚起するイメージと如何に反響、あるいはこれらを反復しているのか、またこれらの反復の深層にある構造とは何かを把捉することを目的とする本研究にとっては本質的な作業となった。これに続いて次年度は、上記ゾンビ映画の映像分析を起点とする、イメージ反復に関する重要な一般理論の構築を行う。また、この一般理論はある一般概念の創出に立脚しており、これを図書、論文として出版し、映画研究史への貢献を確実にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
西部劇を媒体としてゾンビ映画とアメリカ史の関係性を考察する目的で開始した本研究であるが、歴史学的な考察と並行して実施した、映像分析の技法を磨き、知識を蓄積する令和5年度までの作業の過程で、特にジル・ドゥルーズの『シネマ』の再読解、またジュリア・クリステヴァの理論を初めとする文学理論と映画研究・映像理論の融合によって、ゾンビ映画と歴史学の関係性についても当初想定された以上の幅と深度を備えた考察が可能になった。さらに、研究のまとめとして、かなりの影響力を想定できる一般理論の提出も可能な見込みとなった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる令和6年度は、映像・イメージについての新規の一般理論の構築の土台としてロメロのゾンビ映画の分析の最終段階に入り、まさにゾンビ映画を土台とした「映画理論」「映像理論」の発表を目指す。映像理論ということは、映画の「表面」=イメージを扱うわけであるから、ここまでの研究で注目してきた映画の「表面」における歴史的な変化=アナログからデジタルへの変化、この変化についてもロメロの「デッド・トリロジー(アナログ)」から「カナダ・トリロジー(デジタル)」の間で起こる差異を精密に分析する作業を行う。
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