研究課題/領域番号 |
21K00403
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
竹野 富美子 東海学園大学, 教育学部, 准教授 (20751746)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 19世紀アメリカ文学 / アメリカ研究 / 翻訳 / エコクリティシズム / 自然 / 科学 / アメリカ文学 / 英語圏文学 / 19世紀 / 自然史 / グローバル・ヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は19世紀の自然史をめぐる言説空間に着目し、翻訳理論の観点からラルフ・W・エマソンやヘンリー・D・ソローらの自然観を考察することを目的とする。自然史はヨーロッパ、南米などの自然資源の交易をめぐる複雑な政治経済的利害を背景に、グローバルな知的ネットワークを形成する多層的な言説空間として発展した。その自然理解はまた、植民地経営のために自然を「翻訳」する活動でもあったのだが、それがアメリカ文学に特異な影響を与えていたと見ることができる。自然史研究に傾倒し、海外の諸文化を積極的に翻訳するとともに、自国の文化独立を志したエマソンやソローの自然観を検討することで「自然」と文学の関わりを考察する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ラルフ・ウォルドー・エマソンやヘンリー・デイヴィット・ソローなどの19世紀アメリカ文学の諸作品に焦点をあて、彼らの自然への考察を、19世紀の自然史と翻訳理論の観点から考察することにある。本研究では自然史研究に深くかかわると同時に、海外の諸文化を積極的に翻訳しながら、自国の文化独立を志したエマソンやソローの自然観の変遷を中心に、ヨーロッパへ移植/翻訳されたアメリカの「自然」観も参照し、検討する。 令和5年度の研究実績は以下のとおりである。2022年10月、日本ソロー学会2022年度全国大会シンポジウム「ソローと19世紀の作家たちーアメリカン・ルネサンスを再構築する」において「ナサニエル・ホーソーンの戦後処理-ポストべラム期の回想記を読む」を発表した。2023年2月にはアメリカの学術団体Modern Language Associationの地方支部、北東支部MLAの設立50周年記念号となる『Transnational Spaces: Celebrating Fifty Years of Literary and Cultural Intersections at NeMLA』(edited by Carine Mardorossian and Simona Wright, with eight contributors, Vernon Press)において“The Global Imagination of Edgar Allan Poe: 'The Gold-Bug' and Natural History in South Carolina”を掲載した。ここではエドガー・アラン・ポーの「黄金虫」に見られる、19世紀自然史の歴史に基づく世界観を検討し、登場人物であるルグランが暗号の解読のために自然史の知識を駆使し、その解釈行為を”translate”と称していたことを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、令和4年度は19世紀米国の自然史研究及び近年の翻訳理論に関する先行研究の資料や書籍の収集、整理と解読、および国内外の学会発表のみを予定していた。しかし、2022年10月に日本ソロー学会全国大会シンポジウムにおいて講演し、2023年2月にはMLA北東支部50周年記念号に論文を掲載することができた。またその出版過程において、編集者、出版社エディターからの助言を受け、本研究課題において有益な気付きを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には令和3年度、4年度の成果を踏まえて、引き続き文献の収集と先行研究の整理を行う。令和3年度に参加したNortheast MLA年次大会で得られた知見、助言をもとに資料収集、資料分析を継続し、令和4年度において研究をまとめる過程で得た気付きを整理したい。特に、ヘンリー・D・ソローとエマソンの古典主義に関する資料を分析する中で、両者の翻訳への考え方にある違いについて考察することが、両者の自然観の分析に重要なのではないかとの気付きがあった。これらの成果を令和5年にわたって研究発表や論文の形にし、成果報告を行いたい。
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