研究課題/領域番号 |
21K00412
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 正美 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (10326621)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | ロシア / ジャズ / 非公式芸術 / 現代詩 / 比較文学 / 芸術諸学 |
研究開始時の研究の概要 |
1970ー1980年代のソ連では、後に「ソビエト・ジャズの黄金時代」と呼ばれるほど、さまざまなジャズが生まれ、発展し、前衛的な音楽家が活躍した。ジャズに関わったのは音楽家だけではない。特に非公式芸術の詩人、作家、美術家、演劇人等さまざまな人物がジャンルの垣根を越えて交流し、協働し、多様な音楽や作品を創造し、人的ネットワークを築いた。しかし、このジャズ文化の全体像はいまだに明らかにされていない。こうしたジャズ文化に関係する資料の収集・調査はもちろんのこと、これらに関わった芸術家、音楽家、詩人などに現地で聞き取り調査をし、多角的なアプローチを行うことによって、ソ連時代末期の文化の特質を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、1970年代-1980年代のソ連においてジャズ、ロック、大衆歌謡、前衛芸術、非公式芸術がどのように生まれ、変化していったのかを明らかにすることにある。1970-1980年代のソ連では、後に「ソビエト・ジャズの黄金時代」と呼ばれるほど、さまざまなジャズが生まれ、発展し、前衛的な音楽家が地下で活躍した。ジャズに関わったのは音楽家だけではない。特に非公式芸術の詩人、作家、美術家、演劇人等さまざまな人物がジャンルの垣根を越えて交流し、協働し、多様な音楽や作品を創造し、人的ネットワークを築いた。しかし、このジャズ文化の全体像はいまだに明らかにされていない。本研究では1970年代-1980年代のソ連におけるジャズ文化に関係する資料の収集・調査はもちろんのこと、これらに関わった芸術家、音楽家、詩人などに現地で聞き取り調査をし、多角的なアプローチを行うことによって、ソ連時代末期の文化の多面的・複合的特質を解明する。 ヤロスラーヴリにあるジャズ・センター(所長:イーゴリ・ガヴリーロフ)が所蔵する音楽、音源、レコード、文献などの資料を詳細に調査し、ソ連時代末期のジャズ文化の進化と変容について考察するのが主目的だが、新型コロナ・ウィルスのまん延およびウクライナでの戦争により、ロシアへの渡航が不可能なため、ロシアの研究協力者たちとのメールでのやり取りによる資料収集、zoomやskypeによるミーティング・聞き取り踏査によって研究を進めた。また、令和5年度に次の2回の公開研究会を行った。第1回研究会「ポスト・クリョーヒン・スタディーズ」(2023年9月23日、zoomで開催。報告者:横井一江、アレクサンドル・ベリャーエフ、鈴木正美、岡島豊樹)、第2回研究会「ポスト・クリョーヒン・スタディーズ」(2024年3月24日。zoomで開催。報告者:鈴木正美、岡島豊樹、河村宏一、土肥理香)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者である鈴木正美を研究の統括者として、1970年代-1980年代ソ連における ①「ジャズ文化の進化と変容」研究グループ(岡島豊樹、中野圭、セルゲイ・レートフ、キリル・モシュコウ)、②「非公式芸術の発達と他ジャンルとの融合」研究グループ(鈴木正美、ミハイル・スホーチン、リュドミーラ・ドミートリエヴァ)、③「人形劇と他ジャンルとの交流と協働」研究グループ(大井弘子、吉原深和子、ガルジェイ・サルトィコフ)が各々研究にあたった。新型コロナ・ウィルスの感染拡大およびウクライナにおける戦争のため、対面での研究は行わず、お互いにメールで連絡を取り合いながら、個別の研究を進めた。また、公開研究会もzoomにより2回開催した。 研究代表者の鈴木正美は癌の手術のため一時的に停止していたセルゲイ・クリョーヒンの遺作『無言の証人』の翻訳を再検討し、修正した後、2024年秋に出版を予定している。さらに、ヤーシナ=セルギエフスカヤが準備中のジャズ・グループ「アルハンゲリスク」のリーダーだったウラジーミル・レジツキイの伝記のために、ロシア語によるレジツキイ論を執筆した。研究協力者のキリル・モシュコウは大著『ジャズ100:ロシアジャズ・シーンの100年:1922~2022年』(600ページ)を出版した。この本の本文データも著者から研究代表者に提供され、本研究の基本文献として役立てている。 また、大井弘子の夫で、旧ソ連圏の人形劇の研究・紹介に尽力した故大井数雄氏の蔵書約4000冊が新潟大学アジア連携研究センター(旧環東アジア研究センター)に寄贈されたが、現在も書誌データの入力・整理を進めている。貴重な資料のうち人形劇のポスター約200点を新潟市美術館に寄託し、将来の「大井数雄・弘子人形劇コレクション展」の展示に向けて内容を調査しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者である鈴木正美を研究の統括者として、1970年代-1980年代ソ連における ①「ジャズ文化の進化と変容」研究グループ(岡島豊樹、中野圭、セルゲイ・レートフ、キリル・モシュコウ、アンタナス・ギュスティス)、②「非公式芸術の発達と他ジャンルとの融合」研究グループ(鈴木正美、ミハイル・スホーチン、リュドミーラ・ドミートリエヴァ)、③「人形劇と他ジャンルとの交流と協働」研究グループ(吉原深和子、ガルジェイ・サルトィコフ)が各々研究にあたる。ウクライナにおける戦争の状況を見て対面による研究を検討するが、当面はお互いにメールで連絡を取り合いながら、個別の研究を進めていく。また、日ロの研究協力者との公開研究会もzoomにより2回開催する予定である。 ロシアとウクライナの戦争により、ロシアへの渡航が難しくなったため、ヤロスラーヴリにあるジャズ・センターでの資料調査も断念せざるをえなくなった。ジャズ・センター所長イーゴリ・ガヴリーロフおよび海外の研究協力者たちとは当面の間、zoomやskypeによるミーティング・聞き取り踏査によって研究を進めていく。また、研究協力者のキリル・モシュコウの『ジャズ100:ロシアジャズ・シーンの100年:1922~2022年』の翻訳もすすめる。 リトアニアのヴィリニュス・ジャズ祭のオーガナイザーであるアンタナス・ギュスティスに新たに研究協力者に加わってもらった。研究代表者は癌の手術のため昨年は断念せざるをえなかったが、2024年10月にヴィリニュスでの現地調査を行う予定である。ギュスティスのサポートによってヴィリニュス・ジャズ祭に参加し、研究ネットワークをさらに広げ、資料収集も精力的に行っていく。今後は特にバルト三国、チェコ、ポーランドでの現地調査に重点を置いていく。
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