研究課題/領域番号 |
21K00423
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
今村 武 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 教授 (60385531)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | チューリヒ啓蒙 / 自然概念 / 美学的共和主義 / シュトゥルム・ウント・ドラング / シェイクスピア / ドイツ文学 / チューリヒ / ドイツ近代文学 / 18世期 / スイス / 啓蒙 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代ドイツ文学・疾風怒濤が開始されるための決定的要素がドイツ語圏の辺境チューリヒの啓蒙と文学からもたらされたという作業仮説に立脚し、2人の仲介者と3つの分野が交差する対象領域を設定し、18世紀近代ドイツ文学の成立過程をチューリヒ啓蒙の受容と創造的再生という視座から再解釈する試みである。チューリヒに招待された2人のドイツ詩人クロプシュトックとヴィーラントの創作活動に重なる「自然概念」「シェイクスピア」「美学的共和主義」3つの受容軸を設定し、スイスとの関連性を枠組みとして近代ドイツ文学を萌芽過程から再検討する。
|
研究実績の概要 |
本研究の主眼は、ドイツ文学研究・ドイツ文化史研究・18世紀比較文学研究等において取り上げられてこなかった問題領域、すなわち、スイス・チューリヒ啓蒙がドイツ近代文学の成立に対して与えた影響を3つのキーワード「自然概念の拡大」「シェイクスピア」「美学的共和主義」が重なり合う領域を包括的に捉え直すことにある。本研究計画を円滑・効果的に遂行するため、3段階に区分けし、年度別に重点研究分野を指定した。当該年度における重点研究領域は、「自然概念」に関連してはクロプシュトックの詩学の展開について研究を進めた。次に、「美学的共和主義」に関連する研究領域では、いわゆるスイス派の第2世代と呼ばれる詩人(主としてラヴァーターやフュスリ)の創作活動について、特に文学以外の分野における創作活動を俯瞰することで、改めてアプローチを進めた。そして、「シェイクスピア」に関連しては、クリストフ・マルティン・ヴィーラントによる「シェイクスピア戯曲集」の刊行をはじめとするドイツ語圏への翻訳紹介の内容・影響圏に関して研究を遂行した。実際の進捗状況に照らし合わせてみると、主にヴィーラントの圧倒的な影響下における18世紀ドイツのシェイクスピア受容の諸相、及び、それ以前と以後の展開状況について個別的に考察を進めた。さらに、ヴィーラントによるシェイクスピア紹介の影響が1770年代に至り、具体的にどのような形で発露するのかを、実際の作品群にあたり検証を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を3つの領域に分割し、総合的な観点から問題領域にアプローチするというのが本研究計画を遂行するに際しての基本方針である。これまでのところ、シェイクスピアに関連してイギリスの詩人・思想家らが18世紀スイス文学に及ぼした影響、チューリヒの詩人によるイギリス文学受容についての研究は想定以上に進展している。他方で、参考文献の膨大さから、実際の交流関係を通じた啓蒙の進展に関する文献の分析については、さらに一層の進捗を図るべきであると分析する。よって、総合的には、おおむね計画通りに進捗していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在に至るまでの研究遂行状況を振り返ると、おおむね研究計画通りに進捗していると評価できる。本研究計画の進展に伴い、18世紀ドイツ文学研究にいくつかの新たな研究領域を提案することができた。特に、スイスの文学的啓蒙がドイツの文学に与えた影響が、チューリヒ滞在したヴィーラントにより直接ドイツにもたらされたことは、旧知のことではあるけれども、改めて取り組むべき課題であることが再認識できた。また、研究成果の発表にあたっては、細心の注意を払いつつ進めたいと考える。
|