研究課題/領域番号 |
21K00428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 東京大学 (2022-2023) 立命館大学 (2021) |
研究代表者 |
土肥 秀行 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40334271)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 収容所文学 / トラウマ文学 / 捕虜の世界史 / 現代イタリア文学 / 捕囚とジェンダー / 戦争文学 / イタリアの両大戦 / 病と収容 |
研究開始時の研究の概要 |
「捕虜の世界史」とは、人類初の「総力戦」となった第一次世界大戦において、激しい戦闘とともに世界各地で発生していた戦争捕虜には、局地性・固有性が認められるも、その実、一貫性ある現象がみられるということである。帰属国家・民族、捕囚先、期間といった別を貫くのが、広義の文学である。戦闘の猶予、しかし緊張は続く捕囚状態における「余暇」活動としてのエクリチュールが、文学となるのである。その「収容所文学」は、自己喪失の間隙において為される、もはや抜き差しならぬ営みともいえる。本研究の対象となるのは、イタリア語のテクストに限定されるものの、トランスナショナルな潜在性をもつ。
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研究成果の概要 |
初年度に、イタリアの「戦争文学」とはという問いに、収容所を切り口として答えを用意した。すなわち、イタリアにとって戦争(一次大戦)は、近代国家への飛躍であると同時に、深刻かつ幅広い「収容」状態により、停滞とトラウマを強いるものであった。二年目は、そうした収容所でのクリエイティヴィティとして、ガッダのメモや習作群を検討した。ガッダにおいては、経験というよりも文学自体が妄執と化す。最終年度は、移動との対比で収容経験を語る可能性が追求できた。以上、異なる角度からのアプローチが、「収容所文学」なる新たなジャンルの提起に、結果的に示唆的であったところに本研究の成果をみたい。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界大戦はなにも戦いや衝突ばかりではなく、一種の停滞も生んだ。「捕虜の世界史」は、戦争の裏を見つつも、深い傷としての戦争(と人間存在)の本質に迫ることを社会に対し、はじめて明かしている。捕囚とそのトラウマや自己喪失に至る効果は、幅広くみられた現象であると同時に、「収容所文学」のような新たな創造性の発露という固有の事象を生む。その固有性に、横糸としてのジャンルを創設することを本研究は企図し、学術の世界で、さまざまな発表や論文でうったえるよう試みた。
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